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ほわっとしたものから新世界
このところ、自律神経がぜんぜん律してくれず、ごろごろだらだらと過ごしていたら、ある書店のサイトでみた書影に一目ぼれをしました。
いわゆる「撮り鉄」「乗り鉄」「音鉄」までは聞き覚えがありましたが、
「もじ鉄」
言葉もその定義?概念?もはじめまして、のはずなのに、なぜか惹きこまれてしまうこのアレは何?
まっしろの表紙に黒一色で、どこかなつかしさのある、でもきっぱりと美しい線の書体が魅力的なのはもちろんなのですが、こうなんというのか・・・
「懐かしい」にすこし近いような、昔からそこにあったのにあまり意識してこなかったものが急に存在感をだしてきた感じが自分でも不思議で不思議で。「わたし、いつのまにあいつのこと・・・」的な隣の幼馴染に出会ったような、、、、(ちがうか。)
思えば子どものころから今現在に至るまで、電車で路線図を眺めるのが好きでした。それと同じくらい車窓から眺める駅名表示を眺めるのも好きでした。
生まれ育ったのは大阪の私鉄沿線でしたので、こじんまりとシンプルにまとまったその図を、飽きずにいつもいつも眺めていたような気がします。年を経るごとに延伸されていく様子も経営統合やら買収とやらで新たに線が加わっていく様子、新しい鉄道路線が生まれて接続駅もまた生まれる様子、新しくデザインされ付け替えられる表示や看板を飽きずに、でもとくに沸き立つような気もなく淡々と眺めてました。
転居して住むことになった関東圏の広範囲で複雑怪奇な路線図も同じように、何百回乗ろうともやはり飽きずに眺めてしまうし、意味なくスマホ画面に表示してみたりするのです。旅行に行くときもガイドブックの路線図を眺めるのが、実は「ご当地名物スイーツ」ページに匹敵する楽しみでもありました。
長年の「趣味」とも言えないこのなんとなくずっと気にしてきたものに、
「もじ鉄」という名前を冠せられたものを発見してしまったことで、
なんとなくほわほわと漂っていた「なんか好もしい」と思っていたものが一つの趣味として確立していた分野であったというのはなかなか衝撃的で。
しかし、ページをめくるとそこには全く知らない、考えたこともない深い深い世界が広がっていたのです。
へえ、駅看板の付け替え、デザイン変わってないのに不思議だったけど字体の変更があったからなのかあ、微妙に違和感があったあの駅看板は「ヒラギノUD角ゴシック」と「小塚ゴシック」という書体の混合があったからだったのかあ、てか、いったい書体って何十種類あるの?「もじ鉄」さんてこんなところの「文字」も対象にしてるの??え?え?え?
この深そうな「沼」にずぶずぶと沈むかどうかはわからないですが、新しい世界の入り口は意外と近くにあるものなのかも、と気づいた出来事でした。