5と7のヒビキ
日本には昔から五と七のリズムがあります。
日本最古の和歌集である「万葉集」の和歌も五・七・五・七・七でできており、遙か昔から日本人の私達には馴染みの深いリズムです。
俳句や短歌、川柳や標語など、そのリズムは今も私たちの生活の中に息づいています。
日本文学の古い時代には律文が唯一の文字で、散文は後に生まれたものなのだそうです。
古代から私達に受け継がれてきたこのリズムが、散文よりも先にあったのです。
なんとなく定形に囚われない自由な散文というものが先にあって、それから徐々に形式が固まって律文になっていったのだと思っていませんでしたか?
私はそう思っていたので、これを初めて知った時には意外さを感じ、とても面白いと思いました。
日本には古来から神でもあり人でもある「まれびと」という存在がおり、まれびとはその土地に住む人々の幸せと繁栄を願って土地や農作物を祝福する呪言を述べます。
まれびとは人々と精霊との間を取り持つ存在でもありました。
呪言は最初は意味をなさない言葉を繰り返して重ね合わせたもので、まれびとの内なるものをリズムで表現したものでした。
やがて時と共に意味と音が整理されていき、五と七で韻を踏む律文が発生したといいます。
律文というのはもともとは神々や精霊との対話から生まれたものだったのです。
五七五というのは神との対話のリズムなんですね。
文字で文章が書かれるようになってからの古事記の中にも神との対話に五七七の問いに対して五七七の答えを返す掛け合いがあります。
今からおよそ一万二千年以上前の縄文以前のものだとされるカタカムナのウタヒもやはりこの五七調のリズムでつくられています。
カタカムナでは五は『イ』であり、現象の始まりを表します。
七は『ナ』であり、現象の世界へ行くか潜象の世界へ還元するかの分かれ道を示しています。
古来から続くものというのは、今ではそんなものだと何の疑問もなく当たり前に思っているようなものでも、その裏には大切な意味が込められているのでしょうね。
たとえ込められた意味が忘れ去られ、そのカタだけが受け継がれたとしても、やはりそこから大切なものを呼び起こすことが出来るように、カタというのは古代の人がくれた知恵であり真実への鍵のようなものなのかも知れません。
五七五というのは実は白銀比にも関係しています。
白銀比というのは1:√2の比の事です。
1:√2は1:1.414であり、約5:7の比率となります。
この5対7の比率は古来から神の比率とされており、『大和比』とも呼ばれ日本人の美意識に深く関わっています。
大和比は世界最古の木造建築である法隆寺や伊勢神宮をはじめ、仏像や絵画など様々なところに見られます。
身近なところではアニメキャラや東京スカイツリー、私たちの普段使っているA版(A3・A4など)やB版(B4・B5)などの紙の寸法にも白銀比が用いられています。
白銀長方形の大きな特徴は、長辺を半分に切っても白銀比になり、それをまた半分に切っても白銀比と限りなく白銀比が続いていくことです。どこまでも相似形になるというのが凄く宇宙っぽいですね。
正方形の1辺と対角線の比も1:√2です。
日本人は西洋の黄金比より大和比を美しいと感じるそうです。
美しいリズムが時に旋律となり時にカタチをもって現れる。
五と七のリズムは日本人の美意識を伝える
リズムであり
美は宇宙の真実へと導いてくれる
水先案内人なのです。
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