読書日記162「かたつむりがやってくる」-森沢明夫

作者の「おいしくて泣くとき」が良かったのでこの本を読むことにした。

大学を中退した女性が祖母をはじめとする買い物弱者のために日用品の移動販売をはじめる物語だ。

移動販売事業は順調に進んでいったが、フィリピン人の義母との関係性はずっとぎくしゃくしたままだった。関係性が改善するものの主人公が時々感じる苛立ちがゼロにはならないのがリアルだなと思った。

個人的には亡くなった実母のことを思うあまり、義母に対して厳しい態度をとる主人公を祖母が諭す場面が印象的だった。孫と義母の関係性のためにではなく、自分の娘の後妻にあたる人物に心から敬意を払っていることが感じられる言葉だった。

移動販売は一部のスーパーなどが実施しているイメージだったが、このストーリーの主人公にはモデルがいるらしい。実際に若い女性が個人で移動販売を実施していると知り、驚くとともに応援したくなった。

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