昭和初期の物語
今回はサブカル好きの人の間では必ずといっていいほど本棚に並んでいるであろうあのマンガ作品についてご紹介します。
みなさんのご自宅の本棚にもこの作品はあるでしょうか。
※極力ネタバレはしないようにしていますが、一切知らない状態で作品を手に取りたいと考えている方は作品名を確認後、その先からは読むのをお控えください。
作品について
漫画家の丸尾末広さんが描かれた作品「少女椿」をご存知でしょうか。
司書房の官能劇画誌「漫画エロス」で1983年8月号~1984年7月号まで連載されていた作品です。
青林堂より1984年9月に単行本化されて以来、青林工藝舎による改訂版のみで、電子書籍化もされていないそうです。
参考⇒ 少女椿
あらすじ
昭和13年の昭和初期、貧しい家に生まれた少女みどりは病身の母と2人暮らしの生活を送っていました。
みどりは夜ごと花売りに出かけていたのですが、ある日山高帽を被った親切なおじさんに出会います。
「困ったときは、いつでも私を訪ねておいで…」
家に帰ると、そこには変わり果てた母の姿がありました。
孤児になったみどりが山高帽のおじさんを訪ねると、連れて行かれたのは見世物小屋「赤猫座」であり、見世物小屋の下働きとして使われるはめになってしまい......。
参考⇒ 少女椿
※私が勝手に考えたあらすじですので、詳しくはWikipedia等ほかのページでチェックしてください(あと母と二人暮らしというシーンは単行本では描かれていなかったと思うので、謎です)。
感想
この作品は長い間本棚に置いたままで、私自身購入してから1~2度読んでそのままになってしまっていました。
しかし、少女椿のことを何気なく思い出した際にウィキペディアのページを開き、記載されていた一文に「確かに」と深く頷いてしまったのです。
青林堂から1984年9月に単行本化されて以来、女子高生をはじめとする10代後半の多感な年代層を中心に密かな支持を得て読み継がれており、「ガロ系」と呼ばれる日本のオルタナティヴ・コミックの中でも評価や知名度がずば抜けて高い作品のひとつになっている。
参考⇒ 少女椿
正にその通りで、私も10代くらいの頃にこの作品を手に入れて「私はヤバイ作品を持っている」という優越感に浸っていました。
そしてなぜこの作品を長い間読み返していなかったのかということについてですが、
心に重くのしかかるようなシーンが続き、つい開くことを躊躇ってしまっていたのだと思います。
先ほどあらためてパラパラと読み直してみましたが、みどりちゃんに何度も不幸が訪れています。
大好きな作品かと聞かれると、やはりはっきりと好きであるとはこたえにくく、おすすめもしにくい作品です。
絵柄は非常に魅力的で、はじめの数ページの単色カラーページは大正ロマン~昭和モダンといった風合いで今見ても好きです。
この機に、丸尾末広さんの他の作品もチェックしてみることにしました。
※タイトルを「昭和初期」としているのは、物語の時代背景が昭和初期頃であるためです。
小話
最後にちょっと小話をしようと思います。
さくらももこさんが描いているちびまる子ちゃんに、学級委員長の「丸尾くん」が出てきますよね。
クルクルでキツい度数の眼鏡をかけているせいで、顔色が悪く「ズバリ」が口癖のあの子です。
あの丸尾くんは、この丸尾末広さんからとられている名だそうですよ。
・丸尾くん→ 丸尾末広 さん
・花輪くん→ 花輪和一 さん
・えびすくん→ 蛭子能収 さん
参考⇒ 丸尾末広
漫画「ガロ」がある時代に生まれたかったなと思うことがありますが、後継誌の「アックス」なら今もあるので、こちらに手をつけようかと考えたりしています。
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