米国GAFAに転職して分かった、AI・データ系職種と学部の総まとめ
こんにちはPolymathのイトクです。私は高校を卒業と同時に神奈川の実家を飛び出し、18年前にアメリカにやってきました。コロンビア大学を卒業して今はニュヨークのAmazonで働いています。AI、機械学習、データ分析系の職種はアメリカでもとても人気があり、お問い合わせを頂くことも増えてきました。その中でも特に「大学・大学院で何を専攻すれば良いのか?」というご質問を良く頂きます。私自身、投資銀行からGAFAMに転職して分かったことが沢山あるので、AI・データ系の職種、学部をまとめてみたいと思います。
AI・データ系職種一覧
まずは職種から見ていきましょう。Flatiron Schoolというニューヨークのブートキャンプの記事が良かったので表を拝借します。
この業界はどんどん進化しているので、ウェブには現在のトレンドに追いついていない記事が沢山あります。そんな中でこの表はザックリですが良くまとまっていて、私がGAFAMで働いて体感したこととも合ってると思いました。
まず全ての職種には専門領域があるのですが、他の領域と重なるところもあり、それらの全ての人達がチームで働いています。テック企業になるほど詳細にタイトルが分かれており、スタートアップ企業になると一人で全てを担っていることもあります。この表のポイントは、左の職種になるほどビジネス寄りになり、右の職種になるほどエンジニアリング寄りになるということです。では一つ一つ見ていきましょう。
Data Analytics
この職種ははデータ分析やレポート作成が本業で、会社によって以下のような呼び方があります。
Data Analytics
Business Analytics
主にプロダクトマネージャーや、上層部の意思決定をユーザーのアクセスを分析してレポートを作成したり、新しいプロダクト開発の手助けをしたりします。ウェブ系の会社だとA/Bテストを担当することもデータアナリストが多いです。プログラミングができる人も、できない人もいて会社によってバラツキもあります。
さらにBusiness Intelligenceと呼ばれる職種もここに分類され、
Tableau (タブロー)
QlikView(クリックビュー)
Power BI
などのBIツールを使ってダッシュボードを作り、データをリアルタイムで可視化する仕組みを作ったりします。BIツールにデータを送るために、データエンジニアと一緒にデータ・パイプラインを構築したりすることもあります。ちなみにAmazonだとアナリストではなくBusiness Intelligence Engineerと呼ばれています。
Data Analyticsの職につくには大学で以下の様な学部に進学すると良いでしょう。
Business Analytics
Analytics
Statistics
Data Science
Computer Science
Data Science
Data Scienceになるとより技術力が重要になります。データ分析に加え、プログラミング、SQL、機械学習のスキルも必要になります。Data Scienceは幅広い分野で、企業により振れ幅があるのも事実です。
2012年にハーバードビジネスレビューが「データ・サイエンティストほど素敵な仕事はない」という記事を発表して大変話題になりました。当時はData Scientistが上の表左のData Analyticsから右のMachine Learning Engineeringまで全て担当することが多かったのですが、あれから10年の間に業界が成熟するにつれ業務も細分化されてきました。私もニューヨークでData Science業界に身を置き、業界の移り変わりを体感してきました。
最近のアメリカのトレンドは通常Data Scienceはプロダクション環境にデプロイを行わない傾向にあり、分析や、機械学習でインサイトを抽出しデータに基づいた意思決定をサポートするのがメインの仕事です。
なお、上の表にはData Scienceと書いてありますが、GAFAMなどのテック企業ではさらに細分化されていて、例えばAmazonでは以下を総称して「サイエンス」と呼ばれています。
Data Scientist
Research Scientist
Economist
Applied Scientist
Statistician
Data Scienceの職につくには大学でData Science学部に進学するか、Computer Scienceで機械学習系のクラスを履修するのが一番の近道になります。私もコロンビア大学院のデータサイエンス学部を卒業しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Machine Learning Engineering、DevOps
通常MLEと略されることが多く、AI業界が成熟するにつれモデルをプロダクト化する専門のエンジニア職が誕生しました。プロダクション環境でMachine Learning(ML)モデルを走らせるのは、自分のノートパソコンでモデルを実行するのとは全く異なります。モデルの実行スピードや、メモリの使用量、同時に膨大なアクセスがあった時の負荷分散の方法など、エンジニアとして多くのことを考慮しなければいけません。
MLEの担当範囲は企業により様々で、例えば今働いているAmazonではモデル構築はサイエンスチームが担当し、通常MLEはシステムへの統合を専門に行います。企業によってはMLEがモデル構築を担うこともあります。また会社によってはMLEという職種自体が存在しない企業もあり、例えばGoogleだと「Software Engineer, Machine Learning」などという肩書で採用が行われています。
そしてプロダクション環境にデプロイする際には「開発担当」と「運用担当」をつなぐのがDevOpsと呼ばれるチームが活躍します。今ではMLに特化したMLOpsと呼ばれる職種も出てきました。
MLEの職につくには大学で「Computer science」を専攻して、機械学習、深層学習、自然言語処理、画像解析等の授業を履修すると良いでしょう。
Data Engineer
10年前にデータサイエンスが流行りだした頃はデータサイエンティストがデータベース構築を担うことが多かったのですが、今ではデータ周りを専門にするData Engineerという職種が存在します。通常、Data Scienceチームがデータ分析や機械学習をスムーズに行うことをサポートするのがメインの仕事で、SQLクエリを書いたり、スキーマデザインを考えたり、データパイブラインを作ったりします。最近だとAWS等のクラウドにオンプレのデータベースを移行するプロジェクトを行うこともよくあります。
私もData Engineerと仕事をすることがよくありますが、機械学習の基礎知識がある人も多い印象です。Amazonではサイエンスチームの要件に合わせSQLクエリを書いたり、私が書いたSQLクエリをレビューして最適化してもらったりしています。私が書いた100行程のクエリが、50行ほどになり、さらに高速化して返ってきた時は流石SQLの専門家だと感心しました。
Data Engineerの職につくには大学で「Computer science」を専攻して、データベース、分散コンピューティング、クラウド、機械学習等の授業を履修すると良いでしょう。
データサイエンティストやAIエンジニアを目指す方へ
アメリカではAIやデータ分析の仕事はとてもニーズがあり、GAFAMなどの企業が人材を取り合っています。ということは給与水準も高く、アメリカ就職の可能性も非常に高いということが言えます。これらを目指すには留学して学位を取得することが一番の近道です。私自身、コロンビア大学院に留学しなければ、ニューヨークでJ.P. MorganでAmazonに転職することは出来なかったでしょう。
こうして得た最新の情報や経験を皆様とシェアすることで、「海外で活躍する日本人を増やしたい」と願い、Polymathを立ち上げました。AIに興味がある方、データサイエンスを学びたい方、アメリカでGAFAMに入りたい方、まずは無料相談を行っていますのでお気軽にご連絡を下さい。私達のネットワークを使って留学・海外就職をサポートさせて頂きます。世界に羽ばたく日本人が増えますように!