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会議を開く人も、参加する人も。『amazonのすごい会議-ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』読書感想

(A)はじめに:会議に振り回されるな。

現在の職場に転職して約一か月半。前職との主に良い違いを楽しみながら働く毎日だが、少し残念な部分もある。それは、「会議がやたらに多いこと」だ。前職と比べると、プロジェクトに関わる人数も多く、セクションも明確に分かれている。組織自体が過渡期ということもあり、情報共有が何より大事なことは言うまでもない。しかし、一日の大半を会議に費やし、またその会議もひっきりなしなため、準備も覚束ないまま何となしに参加してしまう。業務がひっ迫すると会議中に内職を始めてしまう。(テレワーク下では特にこうなりやすい)
そんな悩みを抱えている中で、本書を見つける。表紙には、「会議は沈黙から始める」、「パワーポイントの資料は禁止」、「出席人数はピザ2枚分」など、興味をそそるリード文が。今回は、本書を通じて会議への付き合い方を考えてみたい。

(B)筆者について/あらすじ

筆者は佐藤 将之(さとう まさゆき)さん。セガ・エンタープライゼスを経て、アマゾンジャパンへ入社。以降、サプライチェーン、書籍仕入れ部門オペレーション部門にて、アマゾンジャパンの立ち上げに寄与。2016年の退社後、鮨職人として日本の食文化の発展に携わるとともに、amazonでの経験を活かし、経営コンサルタントとして企業の成長支援を中心に活動されている。本書以外にも、amazonでのノウハウをまとめた著書を複数持つ。

本書ではまず、amazonの会議は会議と一口に言ってもいくつかの種類があることを説明する。全体に情報を共有する「情報共有会議」、方向性を決定する「意思決定会議」、ブレストを中心とした「アイデア出し会議」、そしてプロジェクトの進捗を確認する「進捗管理会議」だ。これらの内、「情報共有会議」は出来るだけ減らしていった方がいい(ICTの発達や働き方の変化によって、意味が薄れて生きているため)ということで、詳細は省略される。
そして、いずれの会議においても、資料の準備やオーナーとしての心構えがその成否を分けるとし、「1ページャー or 6ページャー」の資料作成術や、会議のハンドリングスキルが解説される。
最後に、amazonでは、OLPOur Leadership Principles)と呼ばれる、全社員が大切にすべき14項目の行動指針が存在し、これらの行動指針に基づいているのが紹介してきた会議の進め方であると述べている。形だけを取り入れるのではなく、社員一人一人がしっかりと行動指針を理解し、実践することが重要であるというメッセージで本書は締めくくられる。

(C)感想:会議にコミットする意識。

会議にはそれぞれ目的があり、その目的を達成することを意識しなければならない。例えば「意思決定会議」であれば、いつ・誰が・何をするのかということが、会議の後にはっきりと共有されていなければならないし、「アイデア出し会議」であれば、慎重な議論よりもアイデアの数を重視して、普段の視点ではなかなか見つけることが出来ない種を見つけなければならない。そしてこれら会議の成功には、オーナーのファシリテートする能力がカギを握っている。漫然と会議を開いていても良い会議は生まれないし、良い会議をできないことは、無意味どころか時間や労力を奪う点でマイナスに働くことさえある。会議毎に運営方法を工夫し、会議の成果を最大限にすることが、会議の主催者、オーナーに委ねられる。

そして一番重要なのは、会議の参加者は会議にコミットしなければならないということだ。一番コミットするべき人が会議のオーナーとなるべきであって、会議のオーナーとは別にお偉方がふんぞり返っている会議はよい会議とは言えないだろう。また、コミットする気がない人やコミットする必要がない人が会議に参加することは、会議全体に悪影響を及ぼす可能性も高いため、会議に招集しない/会議を欠席する勇気を持つことが重要だ。オーナーは会議の出席者の選定から既に試されているといえるし、参加する側も内職するくらいならどんどん欠席しよう。

会議の重要性を訴えながらも面白いのは、特に「情報共有会議」や「進捗管理会議」は、必要ないならないに越したことはないという点だ。情報共有の観点で言えば、ICTの発達により、大勢に様々な形で情報を共有することが可能になっている。また、不確定要素の蔓延る今日日において、上層部が情報を握っていることがパワーの象徴であった時代は終わりを迎え、むしろ大人数の知恵を迅速に結集させることが重要になってくる。進捗管理に関しては言うまでもなく、プロジェクトが順調で滞りがないことがあるべき姿なので、あるべき姿であれば会議の必要性は薄まるだろう。兎にも角にも進捗を確認したいというのは、会議の目的化に他ならない。

会議を円滑に進めるノウハウも重要だが、それ以前に、会議の目的をはっきりとさせること(決して会議そのものが目的にはならないようにすること)、そして会議の参加者が会議にコミットすることを心がけることが肝要だ。

(D)ためになる一節

「適度な権限移譲をしたほうが自分にとっても、部下にとっても、会社にとってもよいことです」

上司の代わりに権限を持ち、会議にコミットして参加する。これらの繰り返しを通じて、部下は成長していく。

会議に呼ばれる側の人も、自分が本当に出席すべき会議かどうかを吟味する姿勢が必要です。

余計な忖度をせず、不必要だと感じる会議は思い切って欠席する。そうすることが、本人はもちろん会議のオーナーにとってもプラスに働くのだ。

(E)まとめ:会議を開く人も、参加する人も。

amazonでは、会議を開く人も、参加する人も、会議をとても大切にし、その効果が最大になるように意識している。それらは一つ一つに工夫にも表れており、日々進化を続けている。身近にあって日常的に行われる会議だからこそ、正しく向き合いなおすべきなのかもしれない。


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