教育界を照らす、満ちることのない月『みかづき』読書感想
(A)はじめに:知っているようで知らない、塾。
学生の頃に一度は通ったことがあるであろう「塾」。今でこそ広く一般的に利用される塾だが、市民権を得るまでには多くの荒波を越えてきている。自身も塾講師として働いていた経験もあるが、やはり学校教育との関係性は独特で、特殊な業界であると感じていた。
2017年の本屋大賞で第2位を受賞し、2019年にはNHK土曜ドラマにもなった本書は、昭和30年代から平成にかけて、学習塾業界の勃興に一家三代で奮闘する家族の物語だ。教育界の太陽である学校