7月3週【教育】 「大学・高専機能強化支援事業」初回公募選定。理工農系学部の新設が進む
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2023年7月3週の「教育」に関するトピックをご覧ください!
「大学・高専機能強化支援事業」初回公募選定。理工農系学部の新設が進む
<概要>
文部科学省は7月21日、令和4年度の第2次補正予算によって造成された基金による「大学・高専機能強化支援事業」の初回公募の118校を選定したことを実施主体である「大学改革支援・学位授与機構」が決定、発表が行われました。支援内容としては、公私立大学が対象の学部再編等による特定成長分野への転換等の支援と国公私立大学と高専が対象の高度情報専門人材の確保に向けた機能強化の支援です。
「教育未来創造会議」の提言でも、理系分野の専門性を持った女性が活躍できる社会を構築していく方針により、要件として「多様な入学者の確保に向けた取組」があり、女子大学の申請や入試の女子枠の設定などの個別の取り組み等も見られました。
この基金が造成された背景には、デジタル化が加速度的に進んでいき、かつ脱炭素技術が今後発展していくことが予期される社会で、日本においては、このデジタル・グリーン等の成長分野を担う理系人材が不足しており、理系を専攻する学生割合も諸外国に比べて低い現状にあります。2019年の経済産業省の「IT人材需給に関する調査レポート」によると、日本におけるIT人材の需要の伸びが3〜9%だった場合、2030年には79万人が不足すると試算がされました。
本選定は初回公募に対するもので、今後も文部科学省は2032年度までに理工農系300学部の新設を目標値としており、更なる大学・高専からの申請が期待されると考えられています。
<これまでの課題>
2019年の経済産業省の「IT人材需給に関する調査レポート」で、2018年時点では既に潜在的なIT人材の需要を含めて、22万人が不足しているとの試算が出ている。
2022年の文部科学省の統計によると、「大学学部段階における理工系への入学者割合」が、OECD平均の27%に比べ、日本は17%と、大学で理工系を専攻する学生がOECD平均より低いうえに、OECD諸国の多くが理工系学部の学生数を増やしているなか、日本では増加していない。
<これまでの取組>
2021年、岸田総理大臣がデジタルを活用して地域の課題解決に取り組む方針を示した「デジタル田園都市国家構想」を発表し、「デジタル推進人材」として、2026年度までに230万人育成する目標を打ち出した。
2022年「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律」等が成立、2023年2月に施行し、文部科学大臣が方針として決める学部等の設置に助成金を交付する業務と基金の設置が可能になる。
<これからの課題>
「中央教育審議会大学分科会」で公表された試算によると、少子化により大学入学者の絶対数が減少。2040年代には、現在の大学定員数を維持した場合、充足率が80%を切ると予測されており、新設された学部にも影響が出ると考えられる。
生成AI等の新しい技術の発展により、社会で求められるIT人材の要件も変化すると考えられ、大学や高専で、ニーズの変化などに機敏に対応することができるか。
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