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自ずから然り~評価されることからの脱出|Polaris流マネジメント#1「セルフチェック」
市川望美です。またまたごぶさたしています。
ここからしばらくは、私たちからすると至極当然、とても自然な形なのだけど、既存の組織からするとちょっと変わっているかもしれない、「Polaris流マネジメント」についていくつかお話していこうと思います。
Polarisのマネジメントテーマは「自ずから然り」です。
自ずから然り(おのずからしかり)|=自然(じねん)
おのずからそうなっていること。本来的にそうであること。あるがままのありかた。
※このテーマを踏まえて厳密にいえば「マネジメント」という言葉そのものが言いたいことを言い表せていない気がするのですが、何について話しているのかをクリアにする上では「マネジメント」がいいと思うので、このまま行きます。「マネジメント」って、上が下に「する」「やらせる」というような感覚で、自然とそうなっていく、というニュアンスとはちょっと違うんなあと思いつつ・・・
『意思決定は、どんな風にやっているの?』
私たちPolarisは基本「チーム」で仕事していますが、それは経営も同様。「チーム経営」「フォロワーシップ経営」を掲げ、経営もチームで行っています。
チームの規模は、おおよそ20名程度。「おおよそ」というのは、固定されていないから。極端に言えば「興味あります」といえば経営に参画できるのでメンバーは流動的。だから、「今のPolarisの全体的な話に関わってくれている人はだいたい20人くらいかな」という感じです。
(とはいえ、全然知らない人がいきなりそういうことはないし、だいたい関わっているメンバーは半年~3年くらいで半分が入れ替わっていくような感じ)
でも、そんな風に「ふわっと」した経営をしていると、「どうやって意思決定しているんですか?」「どうやってメンバーの業務を管理しているんですか?」というような質問を受けることが多いのですが、一言でいうと「管理はできない、していない」ということになります。
かといって、何もしてないとか、自己責任でとか自主性に任せますということではなく、チームによる振り返りの場を定期的に設けたり、自分自身がPolarisでの役割と業務、そして、組織とのかかわり方について考える場を定期的に設けたりしています。
雇用契約で縛ったりできないし、役職とか業務指示で「やらせる」ようなことではなく、「自分のこの立場、この役割だとこうすることがいいんだろうな」とか「状況が今こうならば、こうしていくほうがいいだろう」というように、「おのずとそういう考えが導き出される」という感覚で関わってもらうことが、理想的な方向性かつ、持続可能で心地よいすすめかただなあ・・と思って2015年頃からずっと実践してきています。
なので、Polaris流マネジメントの軸にあるのは「セルフチェック」です。
セルフチェックの仕組みと仕掛け。
誰かが評価するのではなく、自ら振り返り点検する。それがPolaris流マネジメントのキモではありますが、それがうまく機能するためには、仕組みと仕掛けが必要。漫然と振り返るではなく、ツールを使う。そして、「フィードバック&フィードフォワード」をうける。その2つがとっても大事。
Polarisでは、年に1回、私たち役員も全員同じツールを使って、セルフチェックをする場を設けています。(今年はできなかったんだけど・・)
◆Polarisのツールセット
・11のキーワードセルフチェック
Polarisの価値規範である「未来のために今大事なこと」という11のキーワードをチェックシートにしたもの。組織の価値観と自分自身の行動の一致度をはかったり、自分が組織のミッションを日常においてどう体現しているのか確認する。11のキーワードそれぞれに対する「実現度」を1~10点で自己採点する。
・トランジションモデル
自分の役割を、半年から1年のスパンでどのように組織の中で転換していくか考えるためのツール。
・総括
役割全体を振り返ってどうだったか/業務量、業務の種類・質はあなたにとって心地いいものになっているか/セルフチェックを振り返ってどうか?前回のチェックと何か変わった点はあったか/チームPolaris!メンバーとして今後具体的にどんなことをやっていきたいか
★これらを持ち寄り、ワークショップスタイルで発表し、メンバーからコメント。
振り返りにおける“複数の ”他者の存在|「セルフ」だけど一人じゃない。
振り返りの場には必ず他者が存在してます。「セルフ」なんだけど、ひとりじゃない。それが一番大事なことなのかなと思ってます。
いつもの自分を見守って支えてくれる人はもちろん、自分自身からは見えない「盲点」「死角」を補ってくれる人がいたり、自分の思考の癖とか経験から染みついた認知のゆがみなんかも、他の人の目を通すとクリアになったりする。少なくとも「ゆがみ」に気がつける。そうやって、自分と自分を取り巻く環境や自分と自分の担当業務の関係をひも解いていく、そんな共同作業。
フィードバックは、時に厳しく感じることもある。だって自分からは見えないんだから気づきようがなくて、言われて初めて「ハッ」とすることもあるし、自分では見ないようにしてきたことについて触れられるかもしれない。
でも、これは一方的な上から目線の「評価」や「ダメだし」ではない、共同作業の場だよ、という基本精神のもとやっているので、それぞれの観点からのフィードバックは、ギフトのように感じられる温かなものだったりもします。写真に撮って大事にしている人も多いです。
フィードバックではなく、フィードフォワード、という言葉もあるそうですが、「今後どうしていきたい?」「どうやっていこうか」という未来への問いかけも含めて、全体で共有される場です。(私も毎回もらい泣きしちゃう)
コメントをくれるのは、一緒に業務をやっている人もいれば、ほとんど業務で関わったことのない人もいて、「全然知らない人」からもらえるものの価値とか、全然知らないのに発言することの価値とか、そんなものを体験する場にもなっています。
一緒に業務はしてないけど、ちょっと外から見ているとこう見えるよとか、仕事もしたことないし人となりも分からないけど、発表を聞いていてこう思いました、感じましたとか。
「Weak-ties」(弱い結びつき)がもたらす価値ってやつです。
マーク・グラノヴェッター氏が提唱する「Strong Tie/Weak Tie(強い絆と弱い絆)」の理論など参照。ここでは説明を割愛。
Polarisは、いろんな関わり方の人が「チーム」になる。その時に「ずっと知っているから信頼する、新参者は疑う」という旧来型の「信頼の様式」では成立しない。
「ずっと知っている人も今日初めてあった人も同じように信頼できる」ということがとっても重要になってくるんだけど、その価値を直接的に感じられるのがこの「振り返りの場」。「私のことをよく知りもしないくせに」とか思わないでいられる。逆もありますよね、「全然知らない私が発言なんてそんな」とか「新参者ですから」みたいな、謙虚のような変な逆マウント。
この振り返りの場は、「そんな風に見てくれてるんだな」と、感情的にうれしく思えることもあるでしょうし、もっとテクニカルな視点からも、「そうか、外側から見るとそういうことすら見えてないんだな」とか「ついつい自分たちはそう考えがちだけど、確かに全然違う発想もありかも」とか、チームにおける弱い結びつきと、そこからうまれる強い絆を感じられる場でもあります。
「評価されること」からの脱出
と、ここまで少し仕組みについてお話をしてきたのだけど、最終的には「マインドセット」を変えることが最重要だったりします。
「評価されること」とか「他人の評価軸にあわせること」に慣れ切ってしまうと、Polarisのセルフチェックは、ピンと来なかったり難しかったりイタかったりするのです。
人は、評価されることに対して不安や不満、ストレスを抱えることが多いけど、評価されていたほうが楽、という側面もある。「こんな評価しやがって、うちの上司、全然わかってない!」とか文句言うほうが楽だったりもする。
でも、自分で決める、自分で考えるとなると、全部が自分の責任となる。
上手くできなかったこと、ほんとはもっとやれたはずなのに、というようなことを振り返り評価する作業はイタイ。自分で見つめていく作業はイタイ。
実際、毎年、数人は「書けない」。全部ってことはないけど、ここが書けないとか、点数がつけられないとか、モヤモヤしていると書けない。「書けない自分」というものを受け止めるしかない時もある。
その姿もまた「自然」なことだし、モヤモヤしているならば「書けない」のもそりゃそうでしょう。「自ずから然り」だ。
Polaris流マネジメントの「自ずから然り」は、「自主的に」という意味の「みずから」ではなく「おのずから」。
組織のリズムと自分のリズムが無理なく自然な形で呼応したり、事業の状況と自分の役割が自然と調和したり、それがきちんと事業の中で「実績」として花開く。自分たちの本分、本質、本懐に根差した事業が、育っていく。
そんな風なことがやれたらいいなあ・・と思って、日々精進しております。
★Polarisのキーワードマップ
なんとなく、いまここに置いておきます。Polarisのキーワードマップ。これは価値観であり世界観のマップ。こんな感じの関心に根差しながらマネジメントなり経営なりを行っていますので、ご参考になれば。
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【参考】
NPO組織マネジメントノウハウコレクション
強くあたたかい組織をつくるリーダーのための指南書
色々コラボさせてもらったりしているNPO法人CRファクトリーさん発行のこちらの書籍に、Polarisもセルフチェックと、今日は書かなかったPolarisクオリティの2つについてノウハウとして掲載させてもらっています。ご興味ある方はぜひお手に取ってください。他の団体のノウハウも秀逸!!