メロンパンのなか派
自分は好きなものは最後に食べる派だ。これ自体は全く問題ない。問題なのは、自分の好きがマイノリティの時だ。
あれは小学校のとき、給食でメロンパンが出た。そこで自分はメロンパンの外側のクッキー生地を剥いで先に食べたのだ。理由は単純、メロンパンの”なか”の方が美味しいと思っていたからである。
だが、そこで問題が起きた。同じ班(自分の小学校は机をくっつけて4人1班で給食を食べていた)の人が、メロンパンの中身をくり抜いて先に食べていたのだ!今思えば、二人とも何やってるんだ、メロンパンはそのまま食べろよ!ってなるのだが若さゆえの過ちだろうか。
当然、自分は驚愕して「なんで先に中身だけ食べちゃうの⁉」と聞く。クラスメイトはあっけらかんとして答える。「だって外側の方が美味しいじゃん。」
え?そうなのか?受け入れらない自分は周りの友達にもどっち派か聞く。「ふつう外側じゃない?」「中身って食パン食べてるのと同じじゃん。」そんなバカな、、、あのほのかな甘みを持ったふわふわ生地派がいない。食パンとは似ても似つかんだろ、メロンパンのなかは!
それからしばらくして、『メロンパンの皮焼いちゃいました。』なる商品が発売されてようやく認めざるを得なかった。メロンパンのなか派はマイノリティなのだと。
自分は別にメロンパンのそと派を否定したいわけではない。ただ、自分は質素な味を好む傾向があるのだろう。だから、『メロンパンの皮焼いちゃいました。』が出たときは、なんでやねんって思ったし、『しっぽまであんこたっぷり』という謳い文句を掲げるたい焼き屋を見ると、なんでやねんって思う。
まあ、でも別に自分の好きがマイノリティだからといって、なにか嫌な思いをしたわけではない。マジョリティに向けて商品を出すのは商売の基本だということも、この年になれば理解している。むしろ、こんな経験をした自分だからこそ、他人の好きを否定しない人間になれるのかもな。好きなものは自信を持って好きって言おう。とかかっこつけてやるか。
いや、待てよ。昔、給食でプルーンが出たとき、隣の席の子が嫌いって言うから「自分好きだから食べてあげるよ!」って言ったら、周りの子たちが、私のも食べて!僕のも食べて!って来て、10何個のプルーンを泣きながら食べたことあったな。やっぱ好きなものを好きって言うの怖い。。。