見出し画像

鬱でお金となにかを失った話。

今日は、夫の友だち S君の話をします。
S君は、夫ととても仲の良い友人でした。

野球が好きで、音楽が好きで、
いつも温和で優しくて。

夫とも私とも趣味が一緒で、たのしい彼のことを
紹介されてすぐ、私も大好きになりました。

3人で過ごすのはもちろん、
たまに2人で会うこともあるくらい、
本当に仲が良かったんです。


あるとき、S君と連絡がとれない期間がありました。
後にきくと、抑うつ状態で仕事を休んでいたというのです。

SNSではそんな素振りがなかったので、とてもビックリしたことを覚えています。

ちょうど同じ頃、私も初めての抑うつ状態で休職していました。
だから、とても共感しました。

仲の良い友達が、
同じ境遇。
それだけで、共依存に近いものを感じていたのだと思います。

それからも、ライブやご飯など、コンスタントに3人で会う機会はありました。
ちょうど1年前。
3人でクリスマス会をしたんです。
一緒に飾り付けをして、
ご飯を作って、食べて。
本当に楽しかった。


そして、二度目の抑うつ→双極性障害の診断を受けることになった今年の春先。
S君と2人でライブに行く予定があったけれど、どうしても私は行けませんでした。
すると、S君から電話が。
心配かけてしまって、約束をドタキャンして申し訳ないな…と思いながら電話を取りました。

用件は、
「お金を貸してほしい」でした。

息を飲みました。
これまで、一度もそういう場面に出くわしたことがなかったのです。

”友だちとお金の貸し借りなんて絶対にしない”
”むしろ、そんなの求めてくる奴は友だちじゃない”

そう思って生きてきました。

でも現実に起きてしまったら。
想像していたような強い意志で突っぱねることは、私にはできませんでした。

むしろ、
「そんな話し辛いことを話してくれてありがとう。
辛かったよね。もっと早く頼ってくれればよかったのに。」
泣きながら、そんな言葉を掛けてしまいました。
涙が出たのは、自分が鬱で感情の起伏が激しかったせいだと、今ならわかります。

お金を貸してしまったことも、
「もう自分はいなくなるから。こんなお金持っていても意味ないから。」
そんなふうに思っていたから。

完全に、判断能力が鈍っていました。
お金を貸すなら捨てたつもりで貸す。
それだけは頭に残っていて、しばらく経って冷静になってからも、
S君ではなく自分を責めて、返ってこなくても仕方がないと思って過ごしていました。
もちろん、夫にも内緒にしていました。


それからひと月半ほど経った頃、
再びS君からお願いの連絡がきました。
今度は、前回の倍の金額を貸してほしいというのです。
この頃には、私の病状も落ち着きつつあったので、
「はぁ?!」と思いました。

こんなボケをかませるくらいには回復していました(笑)
さすがにお断りすることができました。

このときは、悲しみや同情よりも、怒りが湧いてきたんです。
このことがあって、「あ、私回復してきてるかもしれない」と気付くことができたので、
その点に関しては感謝なんですけどね。

現在、約9ヶ月が経って、
やっと返金の目途が立ったようです。

貸してしまったのは私の落ち度だし、
もしお金が返ってこなくても彼を責めるつもりはありません。

ただ、正直悲しい気持ちではあります。
大好きな友だちでした。
私なら大切な友だちにお金を借りようとは思いません。
舐められていたんだなと、今は思います。
私が抑うつで弱っていることを知っていたS君。
つけこまれたような気がして悲しいです。

でも、あくまで、悪いのは私。
許してしまったのも、
甘やかしてしまったのも、私。


鬱は怖いです。
正常な判断が全くできなくなります。
鬱や躁で借金をする人がいるとは聞いていましたが、
人にお金を貸すのも、それの一種だと思います。

共感力が異常に強まってしまうのも症状の一つといえるかもしれません。

これから、S君とどう友人関係を続けていくのか、いかないのか。
それはまだわかりません。
でも、鬱が、お金が。
私たちを変えてしまったという事実だけは、
受け止めていかなければなりません。



お読みいただき、ありがとうございます。
スキ♡、フォローお待ちしております。


いいなと思ったら応援しよう!

助産師⚘⚘ぽこ|病気と闘いながら開業を目指しています!
私の記事を気に入っていただけたら嬉しいです。頂戴したご支援は、助産院の運営資金や今後の創作活動のために 大切に使わせていただきます。