コメディ礼賛 (2+)「Get Smart」は掛け詞/Double Meaning
「#テレビドラマ感想文」部門で、先週の「Congratulations」をいただきましたので、《おまけ》記事を一席。
コメディの傑作「Get Smart」ですが、この表題には2つ意味があります。
ひとつは、世界征服をたくらむ秘密結社・ケイオスのメンバーが時々叫ぶ、主人公のMr. Smartを「つかまえろ/やっちまえ(Get)!」というフレーズです。
もうひとつは、「賢くなれよ」という意味です。
《get+形容詞》には、「(ある状態に)なる」という意味があります。例えば、「寒くなってきたね」は「It’s getting cold」。
《Smart》は《賢い》という意味の形容詞なので、おバカなスパイMr. Smartに、
「(いいかげんに)賢くなれよ!」
と言っているわけです。
Smartをいつまでたっても《get》できない、同じくらいおバカなケイオスにこそ、
「賢くなれよ!」
と言いたいところですが。
良く言えば《掛け詞(ことば)/Double Meaning》、俗に言えば《駄洒落/pun》です。
同じテレビコメディの「じゃじゃ馬億万長者」の原題《Beverly Hillbillies》も掛け詞で、ビバリーヒルズ(Beverly Hills)にやってきた田舎者たち(Hillbillies)となります。
さらに、《Beverly Hillbillies》の中の《billies》の部分は、《Billionare(億万長者)》の略で、ダブルの《Double Meaning》と、私は勝手に長らく信じ込んでいましたが、そうではないようです。
映画やドラマには、表題も登場人物のセリフも、この《Double Meaning》が結構あり、下ネタが含まれているものも多いようです。これが「Get」できないと、面白さがわからなかったりします。
その昔、米国の映画館で、周りが笑うのに自分にはチンプンカンブン、ということが結構ありました。
《自分以外は共感現象》なわけで、これはフラストレーション、たまりましたね。
Wikipediaの項目「ダブル・ミーニング」で、「映画やテレビにおけるダブル・ミーニング」を見ると、特に下ネタがらみの例がいくつか挙げられています。
なお、映画表題でよく知られている《掛け詞(ことば)/Double Meaning》に、コメディ映画の「天使にラブ・ソングを」の原題「Sister Act」があります。
この言葉の一般的な意味(姉妹だけで構成された歌手ユニット)の他に、この映画の中で主人公が《修道女(=sister)になりすます(=act)》という意味が《重畳》されています。
やはりコメディ映画の「Cool Runnings」も《掛け詞(ことば)/Double Meaning》の範疇でしょう。
日本のコメディの表題で、《掛け詞(ことば)/Double Meaning》がないか、この機会に探したのですが、見つからなかった。
ここには何か(言語的?文化的?)理由があるのでしょうか。
あるいは、私の調査不足で、立派な《掛け詞》表題作品があるのでしょうか。
ご存じの方がいたら、教えてください。