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yukko_96
娘の旅立ちの日まで。
2歳の娘を、ぎゅうっと抱きしめる。「あなたを愛しているよ。どんなときも見守っているからね。」
現在35歳の私は、34歳まで常に不安と寂しさに襲われていた。
幼いころ、母は私に子どもではない何かを私に求めた。
私が9歳のころ、毎晩母とふとんに入ると、母から父への生々しい愚痴や、離婚の相談を夜中まで聞いた。
私に話を聞いてほしい母を感じると、はじめて母から【必要とされている】という感覚もあった。うれしかったし、眠くても、毎日寝不足でも学校の授業や習い事をがんばれた。
しかし、違った。これは子が親から受け取る愛情ではない。それに気付いたのも20代後半にさしかかるとき。私はそれに気づくと深い悲しみと怒りで、母から距離をとりたくなった。
娘には、同じような思いをしてほしくない。
私は、自分の感情で娘を振り回すことがなるべくないように、娘を抱きしめながら
「だいじょうぶ、どんなあなたでも、いつも見守っているよ。」
自分なりのせいいっぱいの愛を娘に捧げたいと心に決めた。
娘に嬉しいことがあったとき、娘がいけないことをして私が叱ったあとに、娘が失敗したあとに、娘が涙を流している時に。自分のからだいっぱい広げて、娘をやさしく包み込む。
「だいじょうぶ、どんなあなたでも、いつも見守っているよ。」
転んでも、また立ち上がろうね。すぐにじゃなくていいよ。
起き上がることが、ひとりではむずかしいなら、手を差し伸べるよ。
また、起き上がれたら歩き始めればいいから。
2歳の娘を抱きしめる。
この瞬間を、こころに真空パックしながら。
あなたが大人になって、ひとりでは抱えきれない悲しみが訪れた時、この無我夢中で包み込まれた瞬間が、少しでも、あなたのお役に立ちますように。
あなたの旅立ちの日まで。
むぎあじ。
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