漢方薬で体の内側から整えて疲労回復
体が重い、だるいなどの全身症状
肩や腰のこり
眼のショボショボ感
頭痛
やる気が起きない
悲観的になる
集中力がない
皆さんも、上記のような疲労症状の経験はありませんか?
この記事では、疲労と疲労に効果的な漢方薬について解説。
疲労の原因を知って、対処することで健やかな毎日を手に入れましょう。
疲労の原因は肉体的、精神的な疲れ
疲労とは、「心身が消耗し回復のための休息を必要としている状態」と一般的に定義されます。
つまり、疲労には肉体的なものと精神的なものとがあり、通常はこの両方が複合した状態が疲労として私たちの体が感じるのです。
しかし現代人の疲労の原因は、ストレスによる脳の疲れが主と考えられることが多く、身体症状はその結果と考えられます。
疲労が溜まると「疲れた」という状態にとどまらず、仕事や勉強などの効率を低下させたり、ミスが生じやすくなったりするので注意が必要です。
また疲労が溜まることやストレスなどが原因で、うつ病や不眠、頭痛など原因にも。
疲労の原因についてはさらに詳しく解説している記事を参照してください。
疲労の男女比について調べた研究があります。[1]
首都圏在住の20歳〜59歳のビジネスパーソン1,000名に「疲れ」の状態についてのアンケートをとった結果です。
全体では8割の方が疲れていると回答しました。
男女比で見てみると女性85.4%、男性76%が疲れを感じていると回答。
疲れの自覚症状は女性の方が多いようです。
年代別に見ると40代が他の年代よりも高い傾向でした。
疲労の対処や治療について
慢性疲労症候群という病的な状態を除き、一般的には疲労という状態は病気ではないと考えられています。
よって西洋医学では薬などによる治療は基本的には行いません。
代わりに自分自身が日々の体調に注意をはらい、脳が発信する疲労感というSOS信号を素直に受け入れることが重要です。
小休止や休息
睡眠
数日間の休養
栄養補給 など
疲労回復の方法を適切にとるようにしましょう。
では漢方医学の視点での疲労は、どのようになるのでしょうか。
漢方医学についてはこちらの記事をを参照してください。
漢方医学では、体内にある生命活動をコントロールする「気・血・水(き・けつ・すい)」の不調和が疲労の原因であると考えられています。
漢方薬による対処を行なうことで、胃腸も丈夫になって食欲がわき、栄養分の吸収も速やかに。
元気な体を取り戻すことができます。
疲労にはどんな漢方薬がおすすめ?
疲労回復の効果を目的とする漢方薬として、代表的なものは「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」です。
元気を補う漢方薬の代表的処方であることから、「医王湯(イオウトウ)」ともいわれます。
この章では補中益気湯について見ていきましょう。
補中益気湯の主な効果
エネルギー補給
ストレス発散・免疫力アップ
補中益気湯はさまざまな不調が対象となります。
だるい、気力が出ない、疲れやすい、年齢的な衰え、胃腸虚弱、かぜ、寝汗など。
産後・病後で体力が落ちているときによく用いられます。
気力ばかりでなく、体力も回復させてくれる処方です。
補中益気湯は胃腸の消化・吸収機能を整え、病気に対する抵抗力を高めるのに効果的です。
補中益気湯の生薬
人参(にんじん)
黄耆(おうぎ)
白朮(びゃくじゅつ)
陳皮(ちんぴ)
生姜(しょうきょう)
大棗(たいそう)
甘草(かんぞう)
当帰(とうき)
柴胡(さいこ)
升麻(しょうま)
以上の10種類の生薬から構成される漢方薬です。
配合生薬の詳しい解説
次に補中益気湯に配合されている生薬の効果について詳しく説明します。
配合されている生薬が一緒に働くことで、効果を発揮します。
補中益気湯のさらに詳しい内容に関してはこちらの記事をお読みください。
補中益気湯のほかに、皮膚がかさついたり体重が減少したりという「血虚」の症状も伴うときは、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)という漢方が用いられます。
漢方薬はどのくらい続ければいいの?
漢方薬といえば長く飲むもの、即効性がないというイメージを持つ方も多いと思いますが、実は即効性があるものも多く存在します。
補中益気湯は飲んで1日程度で効果を感じる方もいるので、まずは用法通り服用し1週間は継続することがおすすめです。
漢方薬を製造販売するクラシエ社の使用成績調査による体質改善や長期で服用した際のデータによると、服用12週〜24週で以下の「気虚症状」と呼ばれる項目の改善がみられました。[2]
表のような症状が出る人は、漢方薬の服用するという選択を入れてはいかがでしょうか。
漢方薬の副作用や注意点は?
補中益気湯は医薬品のため、使用上の注意をよく読み、服用は、用法用量を正しく守って行いましょう。
服用後に不快な症状があらわれた場合には、自己判断せずに、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
漢方薬における副作用で有名なのが、偽アルドステロン症と呼ばれる副作用です。
症状として浮腫・高血圧・低カリウム血症等があります。
偽アルドステロン症はの原因は甘草(かんぞう)という、ほとんどの漢方薬に含まれる生薬成分です。
甘草による偽アルドステロン症(浮腫・高血圧・低カリウム血症等)の発生は、グリチルリチンの活性本体であるグリチルレチン酸のアルドステロン作用によります。
甘草1g中にはグリチルリチンが約40mg含まれていると考えられ、1日の上限値はグリチルリチンとして300mg、甘草の量に変換すると7.5gです。
甘草による副作用は、用量に依存して起こると考えられています。
漢方薬に含まれている甘草の1日量は、ほとんどが3g以下なので問題になることは少ないとされています。
しかし、1日甘草が7.5gを超える場合は注意が必要です。
数種類の漢方薬をセルフメディケーションで服用されていたり、複数の医療機関から処方されていたりする場合はご相談ください。
サプリメントと漢方薬の違い
体の調子を整えたり、足りない栄養を補ってくれたりするサプリメント。
漢方薬との違いは何なのでしょうか。
この章ではサプリメントと漢方の違いを紹介します。
漢方薬を飲むことをおすすめする自覚症状としては以下が考えられます。
疲れやすい
だるい
メンタル面の不調
月経不順
PMS(月経前症候群)
更年期の症状
天候悪化時に調子が悪い
頭痛
花粉症
肌荒れ
風邪になりやすくなかなか治らない
二日酔い
不眠 など
またサプリメントを選ぶ際は、次の順番で何が必要かを考えてみましょう。
普段の食事から、摂取している栄養成分を把握する
その栄養成分の量と推奨量/日から不足している量を検討・算出
不足していると考えられる場合、通常の食品または品質の確かなサプリを購入・摂取する
サプリメントは、キャッチコピーに惑わされず、製品の表示内容をよく確認してから購入してください。
漢方薬を気軽に取り入れてみよう
漢方薬の魅力ひとつは、食事の延長であることです。
自然治癒力を高める意識で漢方薬を取り入れてみましょう。
副作用が少ないことも試しやすい理由のひとつです。
気になる症状やお悩みがあったら、まずは気軽に相談してください。
【参照】
[1]養命酒製造株式会社 東京で働くビジネスパーソンの疲れの実態に関する調査2017