【速読チャレンジ】 #58 「サクッとわかる ビジネス教養 地政学」読書:一年365冊挑戦
概略・感想
ロシアのウクライナ侵略のニュースにとても心が痛みました。
今回は、以前に読んだ「サクッとわかる ビジネス教養 地政学」に、
ロシアはなぜウクライナを狙わなければならないのか?
世界ではどういう綱引きを行われているのか?
ヒントが隠されていると思いましたので、シェアしたいです。
いつもと違う形式です。
速読の記録ではなく、本のシェアを主眼におきました。
是非この機会に、世界の構造を考えるきっかけになればと思っています。
本の要旨
地政学とは?
地政学とは、「国の地理的な条件をもとに、他国との関係性や国際社会での行動を考える」アプローチです。
国の行動には、地理的な要素が深くかかわっています。
どこの国においても、自国のおかれた地理的場所で、自国が有利になるように相手をどのようにコントロールすべきなのかを考えています。
例えば、アメリカは中国とロシアをけん制するために日本に兵を配置し、日本をコントロールしながら、治安を維持しています。
そうであった場合に、今回のロシアの行動はどのような趣旨があるのでしょうか。
地政学的な世界のルール
ここでは、地理的な特性により発生する紛争の原則的な考え方がいくつかあるため、紹介していきます。
●地政学的な衝突
地理的な衝突は次の3つのエリアが代表的なエリアです。
①エリアⅠ:アジア(中国vsアメリカ)
②エリアⅡ:中東(イランvsアメリカ)
③エリアⅢ:ヨーロッパ(NATO・EUvsロシア)
それぞれのエリアの衝突の理由は、次の原則的なルールからきます。
●バランス・オブ・パワー
バランス・オブ・パワーとは、「勢力均衡」のことをいいます。
1位の国が、勢力を増した2位の国に対して、3位以下の国と協力しながら挟み込んで国力を削ぎます。
そうすると、2位以下の勢力を均一化し、抵抗を不可能にするという考え方です。
アメリカが、中国との対立で、日本との同盟によりけん制してきた歴史が、バランス・オブ・パワーにあたると筆者は言っています。
●「ランドパワー」と「シーパワー」
「ランドパワー」とは、「陸」に囲まれた「国」のことです。
ユーラシア大陸にある大陸国家のことを指します。
具体的には、ロシア、フランス、ドイツが強国として挙げられます。
「シーパワー」とは、「海」に面した「国」のことです。
国境の多くが海に囲まれた海洋国家です。
具体的には、日本、イギリス、アメリカです。
歴史の流れでは、大きな力をもった「ランドパワー」の国が、さらなるパワーをもとめて、海を目指して、海洋へ進出すると「シーパワー」の国と衝突することを繰り返しています。
近年の中国がアジアの島国の領海を侵食し始めている例がそれに該当します。
一方、「シーパワー」は、新たなるパワーを求めて、大陸へ進出し、「ランドパワー」と衝突しています。
日本が中国やアジア諸国へ攻めていった例です。
つまり、「ランドパワー」と「シーパワー」のせめぎ合いが国際紛争の火種となります。
●”ハートランド”と”リムランド”
”ハートランド”とは、文字通りユーラシア大陸の心臓部で、現在のロシアあたりです。
極寒で雨量が少なく、人が少なく文明も栄えていない地域です。
”リムランド”とは、主にユーラシア大陸の海岸部に沿った沿岸部で、温暖で雨量が多く、経済活動が盛んな地域です。
世界の多くの大都市が集中して、人口が集中しています。EU圏内がそれに該当します。
”リムランド”は、温暖、雨量も多く、人が住みやすい場所に該当するため、ここの領土を取りたいと考えて紛争が起こるとされています。
”リムランド”は、「シーパワー」の国と、”ハートランド”兼「ランドパワー」の国と隣接する場所になります。
両方からの侵略が起こることになります。
~”リムランド”起きた近年の大規模な紛争例~
1950年~:朝鮮戦争
1955年~:ベトナム戦争
2001年~:アフガニスタン戦争
2003年~:イラン戦争
※内陸部にある”ハートランド”の国は、必然的に「ランドパワー」にも分類されます。
ロシアとNATO・ウクライナの関係
【ロシアとNATOの関係】
上記の分類で考えると、ロシアは、「ランドパワー」兼”ハートランド”の位置する国になります。
ロシアは、南下して、温暖な領土を手に入れることが伝統的な悲願になります。
冷戦の時代から、EU(”リムランド”)はNATOという軍事同盟を締結して、ロシア(”ハートランド”兼「ランドパワー」)をけん制していきました。
~EUとNATOの違い~
※EU:欧州連合=ヨーロッパの「経済的」な連合体
※NATO:北大西洋条約機構=ヨーロッパの「軍事的」な連合体
軍事と経済の違いがあるが、加盟している国は8割ぐらいは同じ国になります。NATOに加盟すれば、EUに加盟するチャンスが生まれると考えられます。
【ウクライナの役割】
ウクライナは、NATOとロシアの間にある国になります。
両陣営は、ここの場所を衝突の緩和剤的な役割の地域として、扱ってきたと思われます。
本書の説明(出版2020年6月)では、
ウクライナは、親ロシア派と親ヨーロッパ派が対立していた構図があり、国内で均衡状態であったとされています。
近年言われているウクライナのNATO入りは、ウクライナにとっては、”リムランド”の経済的な恩恵を享受するチャンスとなります。
一方、ロシアとしては、衝突の中和剤的な中立国が、NATOサイドに入れ替わることで、NATOからの軍事的な危険性を上がると考えています。
ですので、NATOサイドに侵略されているのと同義であると考えているのだと思います。
今回の侵略で停戦協定の条件が「中立的な地位」としているのが、このことであると思います。
これがロシア側の見解としても、戦争をして多くの人を虐殺することが許されるわけではなく、それに対して何もできない世界の国々の無力さを感じます。
自分も何もできなく、悲しいと感じ、過去に読んだ本を要約してみました。皆さんのお役に立てればと幸いです。
記録
1)読んだ日付
2022年2月26日
2)著者、本のタイトル
奥山真司著『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』(2020年・新星出版社)
3)読んだ時間(経過時間とページ数)
4)本を選んだ目的
世界の紛争はなぜ起きるのか?
ロシアはなぜウクライナを攻めるのか?
5)本のエッセンス
上記参照。
6)実行すること
世界の出来事を考えること
自分にできることを実行すること
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