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アマゾンプライムお薦めビデオ④ 169:こういう作品が突然来るからアニメ映画は侮れない!2024年マイベストアニメ映画『ルックバック』

まさか、ということをまたアマゾンプライムビデオはやってくれた。あの今年ベストアニメ映画との声も高い『ルックバック』が早くもアマプラで観られるようになったのである。

この映画、漫画原作ということだが、原作は読んでいない。だからこそよかったのかもしれないが、アニメ作品として純粋かつ十分に楽しめた。楽しめたというか感動し、泣けた。ネタバレになるのでストーリーについては触れないがとにかく傑作である。

そしてアニメとして傑作であるということはその凄さがストーリーだけではないところにある。絵がいい!、動きがいい!、背景がいい!、音楽がいい!。言うまでもなく実写映画と違って、アニメは(マンガもそうだが)すべてがある程度作り手側の意のままにできる。実写だとどうしても俳優やロケ地や天候といった条件により良くも悪くも制限がかかってしまうが、アニメにはそれがない。そう、絵、絵の持つ力と可能性、ネタバレにならない程度に言えばこれこそがこの作品のテーマの一つである。そしてアニメとは、アニメにかかわる人たちとは基本的にその絵のプロフェッショナル達である。その意味では、この世に絵のプロフェッショナルと呼ばれる人たちは少なくはないだろう。しかし、その中で名を売れるひと、有名になれる人、となるとやはり限られてくる。しかし、ここで強調しておきたいのは、名を売ることだけが「プロフェッショナル」であるということではないということである。世の中には名もなき「プロフェッショナル」が多数存在する。そしてその人たちはそれだけで、「プロフェッショナル」であるというだけで、十分にレスペクトに値するのである。

しかし、それでもやはり名を売ることができる人とそうではない人がいることもまた、紛れもない事実である。しかし、それは決して成功か、そうではないかという問題ではない。名が売れる人とは決して絵がうまいだけではなく、むしろ人と違う発想力とそれを形にする力を持った(持てた)人であろう。人はそれを「個性」と呼ぶかもしれない。しかし、多くの場合、その「個性」は周囲に人の影響による場合が多いし、周囲の人に助けられての場合が多い。そして、というか、しかし、というべきか、得てして人はそれには気づかない場合が多い。それに気づくのは(というか気づかされるのは)何らかの「事件」が起きた時である。

この映画はまさにその瞬間をとらえた映画である(当然実際に起きたある事件を思い起こす人も多いし、それは原作においても意図されていることだろう)。しかし、それこそ、悲劇的なことも含めて何が起こる分からない、というのがまさに人生であるとも言える。そこにはそもそも勝者も敗者もない。というか、そもそも勝者や敗者ということばを人生において持ち出してはいけないのである。しかし強いて言えば、結果的に成功してもしなくてもある時期になにかにチャレンジした人を、我々はその人生における「勝者」と呼びたい。「勝者」というよりは「チャレンジャー」と言った方が適切かもしれないが、チャレンジすることにこそ人生における価値と意味があるのである(と思いたい、というか信じたい)。人生はいつか終わる。思いもよらない形で突然終わらされる場合もあるし、人によっては自らの意思で自らの人生を終わらせる場合もあるだろう。しかも、人生というものは「終わり良ければ総て良し」というものでもない。つまりこの言葉は使いたくはないが、「人生の勝ち負け」は人生の最後に決まるのではない。少なくともある時期、何かにチャレンジしたことがあれば、その人はその人生の勝者なのである。そしてその勝利は、その場に一緒にいた人たちの心に永遠に残るものなのである。

と、そんなことを考えさせられた映画であった。とにかく傑作であり超お薦めの作品である。あなたが人生を生きている以上、あなたの人生にぐさりと突き刺さる映画であることは間違いないだろう。


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