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第7回 知財でポンのゲームデザイン4

前回のおさらい

 前回に記述した通り、ゲームの目的は『知財活用のポイントである「表現を守りつつ発信すること」を体験できる』こと。その目的の軸になる想いが『小さな表現を、大切に社会へ発信する『知的財産権の活用』を伝えたい。』ということでした。

 【発信=広がるイメージ】これを表現するためにはコンポーネントやカードで花開く感じに広がると良いかもと発想しました。私は、その広がりは、想いや作品がつながっていくものだというイメージを、この時点で持っていました。それはおよそ完成品の原型でもあります。

 これらの考えを大切にするためには、これまた前回記述した【ちゃぶ台返し】は必要不可欠だったと改めて感じています。

ゲームのアイデアを『引き算』 その1活動分析

風船バレーの時に詳細は書いていますが、要するに1つのテーマを複数の視点から要素に分解(分析)していく手法ですね(ざっくりすぎ!)。

 今回で考えてみると「表現を守りつつ発信すること」と「小さな表現を、大切に社会へ発信する『知的財産権の活用』」という2点のテーマを活動分析に近い手法でエッセンスを取り出していきたいと考えました。

【知的財産の活用】を要素に分析してみる

制度的側面:制限するものでない・作者の気持ちを守るもの・手続き・主張

社会的側面:表現のつながり・作者へのリスペクト・みんなに表現を知ってほしい・ムーブメントを生み出す表現

負的側面:類似品・勝手な主張・無断使用・アイデアの乗っ取り・突発的・どうしようもないことがある・制度で守られる

表現的側面:明るく・ほのぼの・みんなで・協力・ひろげる・つなげる

こう考えると、例えば著作権保護の要素は【主張】に、特許・意匠権・商標などの保護の要素は【手続き】に集約されていく(実際は要素というより要件だね)。

ここで削れる要素は削る・残さないと意味がなくなる要素は残すと、ゲームアイデアの引き算ができます。故に引き算の道具その1です。

(・・・ちなみにこの辺の作業は、頭の中で一人ブレーンストーミングをして行っています。)

ゲームのアイデアを『引き算』その2ハイパーリアル

ハイパーリアルとは

コトバンクでは以下の通りに説明があります(出展は三省堂とのこと)。

① 虚構でありながら、本物にきわめて近い実在性をもっていること。 フランスの社会学者ボードリヤールは、現代社会の特性としている。 ② 写真のようにリアルに描く絵画の手法。

今回は①の意味です。ゲームとの相性ばっちり!活動分析との相性もばっちりです。シミュレーションについては、ガチっとハマる時と全く使えない時があります。より精度を求めると不要なものと感じます(個人的感想)。

ハイパーリアルを簡単に説明するには、某〇ずみーランドの〇っキーマウスを思い浮かべてほしいのです。あれって「ねずみ」ですよね。でもあんな外見の「ねずみ」っていますか?でも誰もが「ねずみ」って言うんですよ。

むしろ劇画タッチのねずみよりも好かれて、「ねずみ」としての実在性を有している。『虚構でありながら、本物にきわめて近い実在性をもっていること。』なんです。語り始めるとキリがないのでこの辺で説明は終わり。

ハイパーリアルを手法として捉えて考えると、エッセンスを誇大にすれば、虚構であっても、よりリアル感は出せるとも考えられます。

知財でポンでは、例えば【手続き】。申請を役所に出して審査し、お金も動けば労力も動くものを、ゲーム中では『手札を1枚捨てる』をその手続きにかかる労力の全てとして、【ホゴ】というハイパーリアル化された虚構の概念に収めました。

著作権の主張も同じく【シュチョー】というシステムに収めました。同様に、作品を発信し周知することをカードをつなげて【ハッシン】とすることも同じくです。

こうすることでゲームのアイデアの引き算が可能になります。

今回のまとめ

今回は引き算の話だけで、超マニアックです。お気づきでしょうが、中身はそんなにないですね。好きな人にとっては好きな話のはずと思い、書きました。

でも面白いですよね。要素を見つめてハイパーリアル化すると、知的財産権の学習ゲームなのに、ゲーム中は「著作権」の「ちょ」の字も出てこないです。

しかし検討会はじめ専門家の皆様から高評価をいただけたことを考えると、知的財産権の活用の本質は十分に体験できていると考えても良いのではないかと思っています。

・・・ということは、この引き算の試みはうまく機能し、ゲームの目的にも沿ったものであったってことじゃないかと自画自賛しています。

次回は知財でポンのゲームバランスやワクワク感について書いてみます。

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