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ぼけしらずネギ【青森県十和田市】/ネギ
<一般的なネギの基本情報>
【ネギ】葱
学名:Allium fistulosum
英名:Welsh onion、Leek、Spring onion、Green onion
ユリ科/ネギ科/ヒガンバナ科(分類法による)/ネギ属
原産国:中国西部あたりとされている
主な産地:千葉県、埼玉県、茨城県、北海道、群馬県(農林水産省2020年・生産量順)
※以下、特に品種名の表記中「ネギ」「ねぎ」「葱」は参照元資料等に準じている。
緑色の葉の部分は筒状になっており、白い部分は巻いて重なった葉鞘(ようしょう/葉の基部が発達したもの)という。
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花茎が伸びあと(薹(とう)がたつ)、総苞(薄い膜)に覆われ、白っぽい緑色の小花が密集し球体状に咲かせ「葱坊主」と呼ばれる。
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野菜として生産している場合は品質に影響するため、とうがたつ前に刈り取るが葱坊主は食べることもできる。また、ほとんどのネギ属で葱坊主ができる。
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<歴史>
紀元前より栽培が行われていた中国から日本への渡来は奈良時代と言われている(記載『日本書紀』720年)。和銅4年(771)には、京都府「九条ネギ」の原種(大阪由来)が栽培開始、以降平安時代には広がり、関西での葉ネギが主流であった。
天正年間(1573年〜1593年)に関東で栽培が始まったが、気候の違いにより生育に影響があり、土に埋まっている白い部分を食すようになった。
江戸時代中期には「越津ねぎ」(現在の愛知県津島市越津町周辺)、後期には「下仁田ネギ(群馬県甘楽郡)」が栽培されている。
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『草木六部耕種法3巻』佐藤信淵(江戸時代後期)パブリックドメイン/国文学研究資料館撮影/味の素食の文化センター蔵
<ネギの分類>
日本で一般的に食用にするネギを大別すると、
「根深ネギ」:白い部分が多い。盛土にして白い部分を多くする。長ネギ、白ネギ。
「葉ネギ」:青ネギ。緑色の部分が多い。
栽培地に関連して根深ネギは東日本、葉ネギは西日本で好まれる傾向があるが、現在は全国で広く様々な種類を入手しやすいこともあり料理によって選択していることも多いと思われる。
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<代表的な品種>
根深ネギ系
「千住(せんじゅ)ネギ」は、前述の通り関東(江戸)での栽培は大阪から現在の江東区に持ち込まれたものが始まりで、白い部分を多くしていった。その後足立区、葛飾区を中心に栽培され、現在その固定種は「江戸東京伝統野菜」(地域団体商標)に登録されている。
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この千住ネギの系統が広く一般にスーパー等に並ぶ長ネギ(白ネギ)である。その種類は各地域に多数あり、ここでは割愛。
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他には、下仁田ネギ(群馬県甘楽郡)、深谷ねぎ、曲がりネギなど。曲がりネギは土壌の違い等で横倒しに栽培される。「仙台曲がりネギ」が発祥とされ、他に「阿久津まがりねぎ」(福島県郡山市)、 横沢曲がりねぎ(秋田県大仙市)、新里ねぎ(にっさと・栃木県宇都宮市)などがある。
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葉ネギ系
「九条ネギ」は、前述の771年の栽培の始まりから京都九条(京都市南区)で広がった834~848年での栽培記録がある。現在は京都全域で栽培され京都府認証の「京の伝統野菜」の中で最も古い歴史を持つ。「九条細ネギ」「九条太ネギ」の2種類があり、葉の内側のぬめりが特徴。
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「難波ネギ」は、古くから現在の南海難波駅周辺(大阪市中央区)で栽培されていた。現在は「なにわの伝統野菜」に認証され、松原市を中心に栽培されている。。九条ネギや千住ネギのルーツと言われている。
「越津(こしづ)ねぎ」は、愛知県津島市越津町周辺、江戸中期頃からで、現在は一宮市、江南市、津島市、稲沢市など広く栽培されている。性質上、九条ネギ系に分類されているようであるが、白い部分も食べられ中間的な種類。
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他には「岩槻ねぎ」(埼玉県さいたま市岩槻区)、「谷田部ねぎ」(福井県小浜市谷田部)など。
「小ネギ」と言われる細ネギは葉ネギを若採りしたり、品種改良したもの。「やっこねぎ」(高知県香美市)は特産品、「博多万能ねぎ」は登録商標名。
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赤ネギ
「平田赤ねぎ」は、山形県庄内地方の伝統野菜。
茨城県にも明治時代からの赤ネギ在来種があり、「レッドポアロー」はのちに命名した総称。「ひたち紅っこ」は在来種から品種改良をした特産品。
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<参考 アサツキとワケギ>
アサツキ(浅葱):ネギ属の別種。チャイブ(エゾネギ、セイヨウアサツキ)の変種。
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ワケギ(分葱):ネギ属の別種。ネギとタマネギ(エシャロット)の交雑種。
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<主な栄養成分・フィトケミカル>
白い部分
香りと辛みのもと硫化アリルは体内でアリシンに変化。アリシンは、ビタミンB1の吸収を高める働きがあり、食欲増進、血流促進、疲労回復、胃腸の調子を整える効果があるとされる。
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「ネギオール」なる精油成分が抗菌、抗ウィルスに役立つと散見されるが、アリルアルコール(2-プロペン-1-オール)の混合物を日本独自にそう呼んでいるらしい。※資料と知識不足で引き続きリサーチ。
生薬として、“根部に近い”白い部分を乾燥させた「葱白(そうはく)」があり、風邪の初期症状や頭痛、腹痛などに用いられる。
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ビタミンC、K、βカロテンのほか、カリウムやカルシウムなどミネラル類は、葉ネギの方が多く含まれている。
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民間療法として、喉の痛みなど風邪のときのネギの湿布利用があるが、これもアリシンまたは関連成分によるものと考えられている。
<ぼけしらずネギ 青森県十和田市>
「ぼけしらずネギ」は、緑と白の境目がくっきりとしていて「ぼけ」がないことからのネーミング。
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JA十和田おいらせの商標登録されているブランドネギ。徹底した土壌管理、培土(土寄せ)より栽培されている。他にハウス栽培の軟白ネギ「とわだ娘(こ)」がある。
国立公園十和田湖周辺からの奥入瀬のきれいな水と気候条件、中嶋農法(中嶋常允氏創設の土壌診断・土づくり、生育コントロール技術)によるミネラル豊富な野菜作りに取り組んでいる。
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甘みがありエグミが少ないのが特徴で、糖度と硝酸の基準値により、十和田おいらせミネラル野菜「TOM-VEGE(トム・ベジ)」として出荷している。(T:十和田 、O:おいらせ、 M:ミネラル、VEGE:野菜)
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▼ネギ好きでたまらないが生をしょっちゅう買えない方は、こちらが便利です。「ぼけしらず 」とは限りませんが、十和田市産のネギとニンニクが入っています。
<参考文献・参照元WEBサイト>
『都道府県別 地方野菜大全』、『地域食材大百科・第2巻 野菜』(農文協)、『からだに効く 野菜の教科書』(主婦の友社)、足立区HP、京都市情報館、JA愛知北、難波葱松原産公式サイト、茨城県農業総合センター、伝統医薬データベース(富山大学和漢医薬学総合研究所)、JA十和田おいらせせHP、株式会社生科研HP など