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文明の衝突と21世紀の日本

"日本人は『不可抗力を受け入れ、道徳的にすぐれていると思われるものと協力するのが、他のほとんどの国よりすみやかだ。そして道徳的に不確かな、力の衰えはじめた覇権国からの横暴な態度を非難するのも一番早い』2000年発刊の本書は93年の『文明の衝突』の軽装版として手にとりやすい。


個人的には『文明の衝突』を欧米のリーダー層の世界視線、そして【どちらが先かは別の問題として】実際にこの20年間で起きてきた事の確認として非常に興味深く拝見したものの、日本については(当たり前かもしれませんが)あまり詳しく論じられていないと感じた事からタイトルに惹かれて本書を手にとりました。

さて本書はベストセラーにもなった『文明の衝突』を原著として、グラフィカルなイラストやCG図を追加する事で、全体的に誰にでもより読みやすく工夫しつつ、日本に対する記述を増やしているのですが。ボリュームのある『文明の衝突』を読み終えてからだったからか?復習的ではあったが、お手軽感に【多少拍子抜けな印象】は拭い去れませんでした。(一冊目としてはむしろ良いかもしれません)


一方で、慈悲深さより【横暴さが目立つようになった】唯一の超大国アメリカの影響力が低下する中、東アジアにおける超大国として次なる覇権国家として着々と布石を打ち続けるお隣の中国との間で挟まれるナンバー2的な"沈みゆく孤立国家"としての日本が【東アジアのほとんどの国から信頼されず】アメリカとも文明的に【欧米間における打ち解けた親しさを共有できない】中で、如何にして【相互関係を保っていかなけれはならないか】との指摘に関しては単純化すぎるなどの異論があっても、個人としての隣人へのふるまい方として考えさせられる部分がありました。

『文明の衝突』のお手軽要約版を探す誰かに、また冷戦終結後からのこれまでを振り返りたい誰かにもオススメ。

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