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ターシャ・テューダーの生き方「小径の向こうの家」には、「この世の楽園」があった(1999年2月)

2003.07.30 Wednesday
アメリカの人気絵本作家・ターシャ・テューダー。
日本語に訳された絵本は少なく、あまり知られてはいません。
その一方で、素朴で豊かな田舎での暮らしぶりに憧れるファンは数多い・・・

もともとわたしは、「この世の楽園」と呼ばれている、ターシャのガーデンのファンで、彼女のような庭が作りたいと、常々憧れていました。
この本は、家にあり、わたしが大切にしているもの。

ニューイングランドの四季 ターシャ・テューダーの世界(文藝春秋)

昨日、図書館で見つけたのが、ターシャの娘・ぺサニーの書いた「小径の向こうの家」です。

すっかり引き込まれて、図書館の中で読みきってしまいました。

この本を読んで「ターシャという人は、本当の意味でのスーパーウーマンだ」と思いました。なにしろ、ほんの数十年前に、ボストンでの社交的な暮らしよりも、電気もガスも水道もない田舎暮らしを望んで、バーモントに移り住んだのです。

動物を飼い、野菜を育て、美しい庭を造り、部屋を常に美しくセンスよく飾り、井戸水で洗濯をし、手の込んだ食事を作り、家族全員の分の洋服をすべて仕立て(時には機織までして!)、クリスマスやバレンタインなどのイベントは、誰よりも楽しく盛り上げ、子供たちには愛情深い母親であり続け、なおかつ著名な画家でもあったのですから・・・

彼女はあるいは、影武者がいたのでは?分身の術が使えたのでは??と疑いたくなるような働きぶりです。

それも、彼女は決してそれを苦にしたりはしていません。また、彼女の意向に沿おうと努力したにもかかわらず、どうしても田舎暮らしが性に合わなかった夫と離婚してさえも、彼女は自分の生き方を貫きます。

彼女は夢を全部叶えた人だといわれます。確かに好きなことをして生きたといえるでしょう。

けれど「好きなこと」を貫くのは、強い意志が必要です。彼女は尋常でないほどの、強い意志と強い信念を持った人、なのですよね。

彼女は言います。

「満足するというのは、そういう精神状態にあるということです。幸せとは心の持ちかたのことだと思います」
「人生はやりたいことを全部やれるほど長くはありません。生きているだけでもなんて素敵な事でしょう」
「もし年に一度しか星を見られないとしたら、見たときにどう思うか、想像してみてください。こんなすばらしいものがあるかと思うでしょう」

こんな風に生きていきたいものです。

18世紀の農家を模した家を手作りで建てガーデニングにいそしみ絵を描く。アメリカの人気絵本作家の住む世界はまさにこの世の楽園。都会の生活が失った素朴な豊かさをニューイングランドの四季を背景に美しい写真で紹介。
出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (1996/11/19)
発売日 ‏ : ‎ 1996/11/19
言語 ‏ : ‎ 日本語
大型本 ‏ : ‎ 143ページ

ターシャの死後

ターシャが亡くなった後、きょうだいたちの間では訴訟が起きていたんですね。

2008年6月18日に自宅で家族、友人に囲まれ脳卒中の合併症により逝去。92歳没。
しかしターシャの死後、広大な土地など全遺産を受け継いだ長男とその息子に対し、比較的彼女とは疎遠だった残りの3人、アメリカ空軍に勤務する弁護士の次男や、絵本作家やイラストレーターになった長女や次女が、本来相続できる筈だった200万ドルの美術品や、土地の半分などの遺産が貰えなかったとして長男相手に訴訟を起こした。

ターシャの死後に起こった訴訟(2020.06.29)

ターシャは亡くなる8年前に遺言を残していて、それによると長男と孫に土地不動産を与え、ほかのきょうだいにはそれぞれ1000万ドルを与えるというものだったそうです。

ターシャの庭は30万坪という広大な土地。そして庭は世界的に有名になっています。

ターシャ自身の絵本の印税のほかにも、ターシャはボストンの名家出身だったので、受け継いだ美術品などの財産もあったようです。

訴訟はその後、双方の完全な和解のもと合意したようですが、内容は非公開となっています。

和解できてよかった。

上記本文中にあるように、NHK Eテレでお孫ちゃんたちと過ごす番組をやっていて、わたしも懐かしい気持ちで見ていました。

今はマンション暮らしで、ターシャの庭は遠のくばかりですが、今も憧れの一つの形として、ターシャに庭は心の中に君臨しているのです。

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