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第384号『我々はクリエイターの力を舐めていない』

「何を言っても無駄ですよ、だって我々はクリエイターの皆さんの力を決して舐めたりしないんですよ」

物凄く厳しいことをすごくカッコよく言われてしまったことを思い出します。

これはもう20年近く前の話になります。

順を追ってお話ししますね。

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ゲームソフトにはレーティング表記というものがあります。よくパッケージに書かれている『A』とか『B』とか『C』のマークのことです。(詳しくは上記のリンク先にあるCEROの解説をご確認ください)

現在は日本国内でゲームソフトの販売を行うためには必ずこのレーティング機構(CEROと言います)の審査を受ける必要があります。

ハッキリ言うと、この審査を受けずにゲームソフトの発売を行うことは出来ません。(現在は任天堂さんだとIARCなどでも認められています、が、このへんの話を始めるとどんどん業界の専門的な話になってくるので今回は割愛させていただきますね)

要するに20年くらい前から日本国内ではこうしたレーティング機構が立ち上がって自分たちで業界の自主規制という名のレーティング審査を受けるというルールが出来上がったということです。

今現在ではこのCERO審査なんかはもう当たり前になり過ぎていて開発スタッフもプロジェクトの開発終盤になると「そろそろCERO審査の準備しないとね」くらいの感覚になっていますが。

この審査が始まったばかりの頃はそうではありませんでした。

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何故レーティング表記を気にするのか?

ゲームソフトを購入するお客様である皆さんはどうですか?

このレーティング表記を気にしてゲームソフトの購入を判断したりしますか?

ほとんどの人は「別に気にしない」と答えるのではないでしょうか。

けど、我々は物凄く気にするんです。ゲーム業界でビジネスをやっている人たちは物凄く気にします。

そもそもレーティング表記自体には法的な制約は無くてあくまで推奨年齢の目安として表記をしています。

だから仮にレーティング『C(15歳以上推奨)』のゲームソフトであっても小学生が遊んだってかまわないということです。

『モンスターハンター』シリーズなどはレーティング『C』ですが小学生だってみんな遊んでますよね。

しかし!それでも我々ゲームメーカーの人間はこのレーティング表記を気にするのです。

なぜならば、レーティングが上がると売場が減るからです。

街のゲームショップや家電量販店などで購入されている方はほとんど気にしていないかもしれませんが、トイザらスやイオンやゆめタウンなどのファミリー向けのショッピングモール内にあるゲームショップでは明確にレーティングが高い商品は取り扱ってくれなくなります。

そうした地方のショッピングモール内のゲームショップで取り扱ってくれるゲームソフトはほとんどがレーティング『A』『B』くらいまでです。

『C』以上になると極端に取り扱いが減ってしまいます。(『モンハン』みたいな例外タイトルも勿論ありますが)

だから我々ゲームメーカーはレーティングを気にするんです。

1軒でも多くのお店に商品を並べないことには絶対にたくさん売れませんからね、だからレーティング審査を『A』もしくは『B』くらいで通したいと思っているのです。

『A』というのは明確に全年齢タイトル。『マリオ』や『カービィ』などがイメージしやすいですね。

『B』は対戦アクションなどの闘うタイプのゲームソフト。今発売されているゲームソフトはほとんどが『B』だと思ってください。

ではどんなゲームソフトがレーティング『C』以上になってしまうのでしょうか。

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ざっくり言ってしまうと、性的な表現と過度な暴力です。これらが一定以上の表現になってしまうとレーティング審査が『C』や『D』などで返ってきてしまうます。

一度審査を受けて『C』という結果が出たとしても再び修正してマイルドにして審査を受け直すことは可能です。(ただしその都度お金と時間がかかります)

ぶっちゃけた話をすると我々はなんとかしてレーティング審査を『A』もしくは『B』におさえたいんです。

『C』にはしたくない。(売り場が減るから)

今からちょうど20年くらい前にサイバーコネクトツーでは『NARUTO-ナルト-』のゲームソフトを開発していました。

少年ジャンプの人気漫画でテレビアニメを観ているのは下は小学生低学年から存在しています。

一人でも多くのお客様に買っていただいて遊んでもらうためにはやはりレーティング審査は『A』もしくは『B』にしたいところです。

しかし、主人公であるナルトは『おいろけの術』という忍術を使うのでした。

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『おいろけの術』とはナルトが使う忍術で、セクシーな裸のお姉さんに変身してそれを見た相手が鼻血をブーッと出して倒れる技です。

これをゲームソフト内のナルトの忍術(攻撃手段)のひとつとして作っていました。

他にもナルトには『影分身の術』や『うずまきナルト連弾』などの技もありましたが(初期のナルトは『螺旋丸』を習得していないため)『おいろけの術』もキャラクターを構成する要素としては不可欠な技だったのです。

ここからお話しするのはあくまで当時の話です。

今現在のレーティング審査の判断基準とは異なっている部分もあると思いますので、あくまで当時はこうだったという感覚で読んでもらえると助かります。

「だってそんなこと言ったらあなた達はいくらでもエロい鎖骨を表現してくるでしょうが」

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