俺は今日まで一日も間違っていない
数年前の話。マンガ新聞のレビュアーになって間もないころに、その定例会のあとの飲み会で佐渡島庸平と話をしました。
たまたま席が近くになってお互いに会うのはまだ3度目くらいの時。
佐渡島さんからゲーム業界や私のことを聞かれていっぱい答えました。
20年前に会社を立ち上げた話や今のゲーム業界のこと、サイバーコネクトツーや私が考えていることなどをひととおり話したところで、それまで黙って話を聞いていた佐渡島さんが“こう”つぶやいた。
「松山さんってあれですね、今までめちゃくちゃ頑張っても頑張ってもなかなか人から認めてもらえなくて悔しくて苦しい思いをさんざんしてきて今の感じになってるんですね」
“コレ”を言われた時に自分でもわかるくらいに心臓が“ドクンッ!”ってなりましたね。
その後も飲み会は続いて参加人数が多かったせいもあって定期的に席替えが行われたので佐渡島さんとの話はこの時はそれでお終いでした。
それでもやっぱり帰りの電車の中でも“佐渡島さんに言われたこと”を自分の中で反芻していました。
“そのっ……通りだっ……!”
本当にその通りでした。
会社を作った25歳の頃から、初めて作った『テイルコンチェルト』その次に作った『サイレントボマー』……どの時もどんなタイトルを作っても最初はやっぱり誰にも振り向いてもらえなくて、悔しくて悔しくてどうすれば少しでもコッチを向いてもらえるのか?“それ”ばかり考えていました。
自分たちが全力で魂込めたゲームソフトを作り上げるだけでは不十分なのか!?
そう、不十分だったのです。
まるで不足、まるでなっちゃいない、全然足りない、不十分なのです。
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俺は今日まで一日も間違っていない
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