『こんにちは、私のお母さん』
映画『こんにちは、私のお母さん』が凄かった
ご存じですか?この映画。たぶん、知らないですよね。私も実はまったく知りませんでした。
たまたまニュース記事を見て「中国映画が興行収入900億円!?」と驚いたのが、本作を知ったきっかけです。
興行収入900億円ってどれくらいの規模かわかります?
『鬼滅の刃 無限列車編』が国内400億円で世界累計で500億円なんですよ?それをはるかに上回る興行成績ってもう違和感しかないじゃないですか。(無視できない)
これはちゃんと自分の目で直接見て確認しなきゃな、ということで観てきました。
なんならハズレだった時の保険用に『レイジング・ファイア』を同日に予約して観るという警戒っぷりでした。(もちろん『レイジング』は100点満点の面白さでした)
で、観始めたら悪い予感は当たるもんで「うわ、失敗した」と直感的に思ってしまいました。
いくら80年代を舞台にしているとはいえ、もう全ての演技がイモ過ぎる。
なんか中国映画独特のコメディのノリが全く肌に合わない。
タイムリープモノなのにセリフに一貫性が無い。(知ってるはずない矛盾)
もうね、正直128分もある長尺の映画がこんなにも苦痛に感じたのは久しぶりでした。
ええ、100分くらいまでは。
そうなんです。
評価がまるっと大逆転するんですよ、これ。
もうね、ホントに最後の20分で全部ひっくり返されましたよ。
そして号泣。
その日は映画館はガラガラでなんなら中国人のカップルが3組くらいしかいなくて、日本人は私一人でした。
私は本当に人前では見せられないような顔で声を押さえるのを必死に我慢しながら延々と泣きました。
そして100分間のイモ演出がブラフであり伏線だったことを思い知らされて、それを反芻してまた泣く。
それからはエンディングまでずっと泣いてました。(20分以上泣き続け)
こんなにも映画を観て映画館で泣いたのは久しぶりでした。
なんでしょう?帰りの電車の中でも(泣いたからなのか)不思議と身体が軽くてある種のデトックス効果を感じるくらいスッキリしていました。
1月7日に公開されたばかりなので、これからまだ観ることができるはずなのでオススメですよ。
観て泣いて体重を減らしたい方、必見です。
たぶん、日本では公開時間は短いと思うので早めにどうぞ。
*****
そもそも邦題もヒドイじゃないですか。なんですか『こんにちは、私のお母さん』って。売る気あるんですか?と言いたい。
(ちなみに英語表記だと『Hi Mom』(ハイ、マム)だったようです、いずれにせよ酷いタイトルです、他に無かったんでしょうか、更にちなみに言っておくと中国原題は『こんにちは、リ・ホワンイン』というタイトルでリ・ホワンインというのは監督の実のお母さんの名前です。ひとりの女性=母の名前を冠することで中国原題の方がメッセージ性は高かったように思います、が、さすがにこれだと他の国での公開の際に変更されてしまうのは仕方が無いですね)
売れて欲しいなぁ、この作品、日本でも。
パッと見た時の印象とタイトル的になかなか苦戦する気がしてならないですが。
あるとすればこんな感じで口コミで広がるパターンですね。
余談ですが主演の女優さん(おばさんにしか見えない)って実は監督であり脚本も演出も全部ご自身で担当されているという化物だったんですよね。
恐ろしいです。
そしてテーマにもなっていて作中でも表示されるのですが『この世の全ての母に捧げます』って言葉がとにかく刺さる。
私はもうこの文字を見ただけで泣けてくるし、観た後の1週間ぐらい会う人みんなに本作をオススメしまくっています。
たぶんこの作品を観た男性は全員「母にありがとう」とひたすら感謝をすることになるし、いずれ母になるこの世の全ての女性のことを尊敬し感謝し直すことになるでしょう。
2022年1月からとんでもない映画に出会うことが出来ました。
また勉強になりました。(ありがとう中国映画)
*ちなみに記事トップに貼っている映画公式サイト内のコメントページには、なんと私の感想コメントが掲載されています。Filmarksに投稿した感想をそのまま投稿したら採用されたようです。良かったらご確認ください。
*****
さて、ここからはせっかくなので本作『こんにちは、私のお母さん』でも使われている脚本構成の演出テクニックや手法について掘り下げていこうと思います。
(気を付けてネタバレにならないように記事を書いていきますね)
映画だと『いま、会いにゆきます』だったり、ゲームソフトだと『ペルソナ5』のストーリー展開にも使用されている演出について分析しつつお話していければと思います。
それでは張り切っていきましょう!
*注意事項*
「ここから先には『戦場のフーガ』の今後の展開における致命的なネタバレが含まれていますので絶対に読まないでくださいね」という一文を記事の執筆中、というか、まだ記事を公開する前段階から追記することを決めたのでここに記しておきます。これもう注意事項とかじゃなくて完全に『警告』って言ってしまった方がいいですね。たぶんまるで意味が分からないと思いますが、まぁこれより先を読んだらわかるんですが、もう読まない方がいいですね、つかもう嫌な予感しかしてないでしょ?たまにはその予感というか直感に従ってください、なのでこれから先は読まないようにお願いしますね。
*****
Aだと思わせておいて実はBからのCという演出
良かったらサポートいただけると嬉しいです。創作の励みになります。