幻影旅団へようこそ
ゲーム会社サイバーコネクトツーは福岡に本社があって、現在は福岡&東京&大阪にそれぞれスタジオを構えていて総勢およそ300人くらいのスタッフがいます。
そして、毎年の新卒採用でおよそ30人くらいの新入社員を採用しています。
ゲーム会社といっても当然ながら会社ですので、採用が決定した後には内定を出して毎年4月の出社初日には入社式というものを実施します。
私は毎年のこの入社式の場で会社の代表として挨拶をするのですが、およそ30人の新入社員を前にして必ず伝えている言葉があります。
それこそが「幻影旅団へようこそ」という言葉なのです。
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幻影旅団へようこそ
『幻影旅団』とは言わずと知れた、漫画『HUNTER×HUNTER』に登場する特異な念能力を持った異能集団のことです。
まぁ、サイバーコネクトツーに入社する新入社員の中に「幻影旅団ってなんですか?」なんてことを口にするスタッフは一人もいませんからね。
全員に意味はちゃんと伝わります。
それをわかった上で伝えているのです。
これは例えとか比喩みたいな言葉では無くて、割と本質をついた言葉として伝えるようにしています。
「ただの能力者には用が無いんだよ。うちは幻影旅団だからね。世界中から常軌を逸したとびっきりの能力者だけを集めたんだ。そう、俺がそういう風に作ったんだ。このサイバーコネクトツーをね。だからこの会社には普通の人間は一人もいない、存在しないんだ。これから君たちもそうなる、あるいは、すでにそうなっている人間もいるはずだ。いいかい?忘れないで欲しい。今日のこの俺の言葉を。きっとこれからの毎日の業務の中でこの言葉の意味を何度も思い出すことになると思うから」
漫画的な擬音でいうとたぶん「ズズズズッ」という表現が一番合っていると思います。
そういう音を出しながらいつもこの言葉を伝えています。
あぁ、もちろん最後にこの言葉も伝えてますよ。
「入社おめでとうございます。これから一緒に面白いことをやって、世界を変えていこう」
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情報は出し合った、後は自由だ
入社後のサイバーコネクトツーでは様々な研修プログラムが用意されていて、新入社員はみんなそれぞれの職種ごとに研修を受けることになります。
最初の3か月は課題研修で指定された課題を期間内にそれぞれが制作して評価を受けることになります。
その際には直属の上長である指導担当者が面倒を見ながら制作を指導していきます。
そして次の3か月でいよいよプロジェクトに配属され、指導担当者からの指示を受けながら実践を行います。
この合計6か月間の研修プログラムの中で同時に査定も行われていて、入社した初年度でも新入社員それぞれのお給料に差が出るようになっています。
サイバーコネクトツーの評価基準はシンプルで能力が全てです。
国籍・性別・年齢・学歴などは当然ながら一切の配慮も考慮もなされません。その時点で当人が持ちうる能力(技能)が全てなのです。
また、これは入社した人間の多くが一番驚くことになる社内文化なのですが、社内にある一切の情報が全てオープンにされているのです。
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とるに足らない出来事
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