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アニメ映画に芸能人を起用する理由
もう100億年くらいずっと言われ続けている『アニメ映画に芸能人を起用する理由』って、なぜだかご存知ですか?
ほとんどの人がきっと「やめろ」と思ってらっしゃるんじゃないでしょうか。それなのに公開されるアニメ映画の大半が芸能人を起用されています。
お客様が望まないのにそれが続く理由っていったい何なのでしょう?
これ、答えを言ってしまうと『売るため』なんですよね。
芸能人を起用することで色んなワイドショーなんかで取り上げてもらえるようになるんです。
理由は以上です。
たったこれだけの理由なんですが、実はこれがシンプルに最も集客に効果を示すので映画業界の関係者はコレがやめられないんですね。
だって、関係者だって内心は「うわ、この女優さん思ってた以上に下手だなぁ」って思いながら収録をやってるんですよ。
そして同時に「監督、スンマセン、あとはなんとかしてください、いっぱいリテイクしてもらって叶いませんので、あ、けど、その子が泣くほどのリテイクは勘弁してくださいよ?プロモーションに使わなきゃいけない素材なので、それなりに大事にお願いしますね」くらいの感じで丸投げなのです。
かなり極論のように聞こえるかもしれませんが、実態はほぼこうなんです。
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なんでそんなことが言えるのかって?
私自身も経験があるからですよ。
(皆までは言いませんが)私は過去に2本のCGアニメ映画作品の監督を務めたことがあります。
その内の1本が全国公開の映画だったので芸能人を起用することになったのでした。(もう一本はイベント上映のみ)
最初はキャスティングの際に、監督としてプロデューサーに「本作では、というか、そもそも私はアニメ映画に俳優・女優などの芸能人はキャスティングしたくないです、プロの声優さん達だけで収録をしましょう」と伝えたんですね。そしたらハッキリとこう言われました。
「この映画が売れなくてもいいんですか?」
根拠は前述の通りなのですが、映画をしっかりとプロモーションしていくためにはやはりテレビ露出も必要ですし公開初日の舞台挨拶だって芸能人を起用してさえいればどこにだって各局のカメラが付いてきてくれます。(事実全くもってその通りでした)
正直、私はもともとアニメ映画に芸能人を起用することを良しと思っていません。なぜなら下手だからです。そもそもがプロモーション目的で起用していますので演技が上手いはずがありません。むしろ『これからこの子は伸びる』という(知名度的な)期待値で起用されることが多いので漏れなくそう(ヘタな人に)なります。
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ただし、例外だってあります。若い俳優・女優の中にだってしっかりと演技ができる方もいらっしゃいますので、作品に合ってさえいれば全然OKです。
けど、やっぱり俳優・女優というのはあくまで実写の演技であって、アニメの演技ではないのでそもそもが演技の表現手法が異なります。
実写の情報量に対して、アニメはいわば情報を整理した簡略化された絵になりますのでそれに適した演技が求められるのです。
例えばですが、実際にアニメを観ていて「完全にアニメ声だな、こんな喋り方するやつ現実にはおらんやろ」と思われることがあると思いますが、まさにそれなのです。
それこそがアニメに求められる適した演技ということなのです。
そしてそれは簡略化された絵という情報に対して適切な誇張と演技・演出が出来る特殊な職業=声優にしか出来ないプロの仕事です。
声の出し方が実写とアニメでは根本から異なるということなのです。
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一応、名誉の為に言っておくと。過去に私が監督を務めた映画作品で起用した芸能人は3名で、いずれの方もしっかりとアニメの演技を行っていただいて素晴らしい仕事をしてくれました。(若干一名かなり拙い方が起用されましたが監督権限で納得いくまでリテイクを出して繰り返し収録を行わせていただきました)
芸能人の起用に関してもプロデューサーと相談して「芸能人はメインキャラの3人までにさせてください、他はプロ声優で固めさせてください」とお願いして「3人いればプロモーションはしっかり出来るだろう」という結論になったのでした。
芸能人のキャスティングに関しても(若干一名を除き)かなり演技もしっかりとやれる実績と保証のある方を起用させていただけたのでそこまで苦労することはありませんでした。
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さて、今回なぜこんな話をしているのかというと(想像の通りかもしれませんが)、とあるアニメ映画作品で本当に心の底から「全部の収録をプロ声優で撮り直せ!」と叫びたくなるほど酷い思いをしたからです。
まぁ、その作品は音声だけを収録し直したところで取り戻せるような内容では無かったのですが、それにしても酷かったですね。
いつも通り業界関係者の多くの方がこっそり見られているこの『週刊少年松山洋』で表立って作品名を公開するわけにもいきませんので、ここから後半部分に突入させていただきます。
その作品の感想と評価含めてお話していきますね。
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SNSでは言えない映画作品感想レビュー
もうなんか状況証拠が揃い過ぎていて何の映画作品のことを言っているのか丸わかりだとは思いますが、やっぱりこちらの作品のことですね。
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