本命になれない《ツインレイ物語⑨》
前回の記事の出来事があった頃、レラは1年に5回も私の住む地方にライブに来ていました。
売れっ子のミュージシャンでも、同じ地方にそんな頻繁にはライブをしに行かないですよね。
それは今考えてみると、レラが私に会いたかったことと、私がレラのライブのために都会に遠征することがなかったからではないかと思うのです。
以前書いたように、当時私には本命のミュージシャンがいて、その人のためなら都会への遠征もしていましたが、それだけで手いっぱいで、レラのバンドも好きではあったのですが、遠征までする余裕がなかったのです。
ピリカが来られないなら、自分が会いに行けばいい、ピリカの住む地方に行けばライブに来てくれるし
レラの中には、そんな想いがあったのかもしれません。
今では、さまざまな事情により、レラと話すことはほとんどできなくなっていますが、その頃はライブ後の物販で僅かな時間でも話すことができていました。
あるとき、購入したCDにサインを書いてもらおうと、ライブ後にレラを待っていたときのことです。
この日は特に人が少なくて、レラ達は物販も片付けも自分たちでしていました。
物販のグッズを持って歩いていたレラに声を掛けてサインをお願いすると、レラは嬉しそうに私がいたテーブルのベンチに座って、サインを書き始めました。
それを眺めながら、私がレラのバンドのどういうところが好きなのか、という話をすると、レラは、自分もそういう想いでバンドをやっていて、自分の音楽に対するこだわりがまさに私の話した通りのことだと、とても嬉しそうに音楽の話を熱く語り始めました。
嬉しそうに話すレラを「可愛いなぁ」と見ていましたが、「片付けの途中なのに、こんなに話してて大丈夫?」と思っていたら、急に思い出したように「片付けが残ってるんで^^;」と名残惜しそうに立ち上がって去っていきました。
レラは、私と話しているとき、いつも嬉しそうにニコニコしていたので、私は
「この人は、どんなファンにも、いつも優しい人なんだなぁ」
と思っていました。
レラからすると
「たぶんピリカにそう思われてるんだろうなぁ」
という感じだったみたいです。
もともと、ファンに優しい人ではあったのですが、レラにとっては、私と会話できる時間が嬉しくて仕方なかったからだったんですね。
それからしばらくして、何とレラは、私が追いかけていたバンドのサポートメンバーに入りました。
私にとっては、1粒で2度美味しい的に嬉しいことではあったのですが、何がどうしてこうなったの?と不思議でもありました。
固定のサポートではなかったので、いつも居る訳ではありませんでしたが、そのために私は都会のライブでレラの姿を見る回数が増えたのです。
それでも、私にとってレラはまだ本命ミュージシャンではありませんでした。
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