夫がある日、立てなくなった⑤結婚の条件
前回のプロポーズでアッサリと結婚の申し込みを受け入れた私だったが
もちろん、不安がゼロだったわけではない。
何度も言うが、わたしの結婚の唯一の条件は、
「健康なひと」だったから。
どうやら一生付き合っていかないといけない病気を持つオット。
私に支える覚悟はあるのだろうか。
ぐるぐる考えるときもあった。
そんな時、昔、母に言われた言葉を思い出した。
結婚するならね、本当に優しい人を選ぶんだよ。
お母さんはね、お兄ちゃんを出産したときに、
病気になっちゃって、寝たきりになった時期があった。
『うちの嫁はなにもできない』って義母さんや
近所の人にも言われて、悲しいと思ったこともいっぱいあった。
けどね、お父さんは一度も嫌な顔せずに、
お母さんの面倒見てくれたのよ。
いくら結婚したからって、おトイレのお世話とか
本当はいやだよね。
でもね、本当にお父さんは、優しかった。
その後、母は
「ぴっぴは、お父さんに優しくしてもらっていいなぁぁ~~(嫉妬)」
とデカい声で叫んでいたけれど(笑)
私が母のように、ある日突然、
寝たきりになったら
この人は、父のように、捨てずに面倒看てくれるだろうか?
それは私の中で一つの価値観になっているかもしれない。
そして、そんな父に育てられた私も、
もし父と同じ立ち場になったら、
嫌な顔ひとつせず接せられる人になりたいと思っていた。
幸せにしてもらうことも嬉しいけれど、
私が幸せにしたいと思える人に出会えることは
もっと嬉しいかもしれない。
健康なことに越したことはない。
でも、遅かれ早かれ、程度は違っても
身体は老いるし、朽ちていく。
大切なのは、その時その時で
できる精一杯のことを
一緒に向き合って、できるかどうか。
そんなことをぐるぐる考えていた私に、
プロポーズの翌日、オットが結婚への気持ちを
3枚もの手紙にして、私にくれた。
早く渡したいという気持ちからか、
職場の封筒に入れて。笑
自分と結婚してください。
この体は、絶対に治してみせます。
あなたの良い所も何もかもすべてを受け入れて
必ず幸せにします。
あなたのことを一番に考えて、
今以上の思いやりとやさしさをもって日々を過ごします。
一生あなたを愛し続けます。
一生一緒にいてください。
とてもまっすぐな想いが伝わってきた。
不安はゼロではなかったけれど、
幸せにしてほしい、という気持ちより
一緒に幸せになりたい、と思ったのは
オットが初めてだった。
一番の結婚の条件を捨ててでも
一緒になりたいと思える人。
自分の価値観がかわるくらい
好きな人。
それが今思う、私の結婚の条件かもしれない。
その手紙をもらって5か月後、
オットの父の月命日に、
入籍をした。
人生で、オットが一番泣いたであろう月を、
今後一生、
1年で、いちばん幸せな月にしてあげると、
私が決めたから。
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