「逃げ」のススメ
この世が生きやすい、と思ったことは1度もない。
だからこそ、私はこの世を生きやすい場所にしたい。
初めて生き辛さを感じたのは、小学生のとき。
そこそこな田舎で育ったので、同級生は100人程度。
ほとんど同じメンツで小学校から中学校の9年間を過ごした。
正義感にあふれ、自分が正しいと思ったことは正しい。
道理に反することは私が言って正さなければ、と本気で信じていた。
「今日は○○ちゃんシカトしよーよ」
という誘いを断った次の日から、私がシカトのターゲットになった。
よくある話だ。
正直、あの頃されたことはあまり覚えていない。学校を休んだこともなかったし、親に弱音を吐くこともなかった。けど、「周りの人間は敵だ」という事実は苦しかったし、本気で嫌だと感じたことを人に伝えることができない癖はこの頃に付いたのだと思う。
でも、現実世界が辛かったから、私は「本」という逃げ場を見つけた。
フィクションの世界では、どこへでも行けたし、主人公は皆苦しいことがあっても最後には笑顔になっていた。
本を読んでいる間は、私は自由だった。
当時、大好きだったのが、
・森絵都さん『リズム』『カラフル』
・たつみや章さん『月神の統べる森で』
・ミヒャエル・エンデさん『モモ』『はてしない物語』
この本たちを思い出すと、昔住んでた家、小学校の図書館、地元の図書館の風景や匂いをありありと感じることができる。
同級生のシカト、家庭のわずらわしさ、頑張らなきゃいけない勉強。それらから解放されて、私が私じゃなくなる時間が、一番のリラックスできる時間だった。
大人になるにつれて、物語はあまり手に取らないようになった。
今の自分にとって役立ちそうだなと思う実用書などばかり読んでいたけど、仕事を辞めたいまだからこそ、物語を読んでみるのもいいかもしれない。
大人になるまでに身につけておいたほうがいいスキルって、
もしかすると、「逃げ方」なのかもしれないなと思う時がある。
自分1人で完結する、自分だけの「逃げ方」。
もちろん、人を頼る方法もあっていいし、逃げ方のパターンは多いに越したことがないと思う。
けど、1人で完結するものは絶対にあった方が強いんじゃないかな。
誰もが自分の味方じゃないから、味方でいてくれる人を大事にするために、自分自身を大事にするために。
苦労は人に押し付けるものでもないし、自ら選びにいくものではないよ。
大丈夫。
私も「逃げ方」のスキル、どんどん身につけていこ。