バビロンの大富豪|ジョージ・S・クレイソン、大島豊 訳
お金に関係する本を読んでいると、必ずと言ってもいいほどにこの本が取り上げられている。名前だけは聞いたことがあったが、ちゃんと読んだことがなかったので読んでみた。
そもそもバビロンとは、紀元前にユーフラテス川沿いで栄えたバビロニアの首都である。こうして本に取り上げられることからわかる通り、とても栄えた国だったようだ。本書の最終章にはバビロンの歴史と、パンフレットから始まった本書が書籍化されてベストセラーとなった経緯が記してある。
まず感想から言いたいのだが、結構面白かった。1926年に書かれた本なので現代とは大幅に離れた価値観でかびくさい表現を用いて書かれた自己啓発本なのだろうと思っていた。
1926年といえば日本だと大正が昭和になった年であるし、そのころ活躍していた小説家といえば谷崎潤一郎、菊池寛、武者小路実篤、江戸川乱歩、、、あれ、案外面白いかもしれない、、。
というのはおいといて、上記のように読む前は斜に構えていたのだが実際飛び込んでみるとそんなことはない。本書はバビロンの遺跡から発掘された粘土板に書かれたお金を得る原則を基礎として、バビロンでトップの資産家アルカド、その息子ノマシア、金貸しメイソン、奴隷から富豪のラクダ商人になったラバシアなど、様々な資産家が自分の経験を話す形でその粘土板の教えを紹介している。
物語としても面白い上に、古代メソポタミアの文化を知ることができる。現代の価値観とはずれるだろうと思ったが、資産形成にのみ焦点をあてている内容だからかそんなこともない。唯一気になった奴隷という表現も、文化の違いとして受け入れられる上に、人権無視や人種差別というイメージの奴隷ではなく、現代で言うパートタイマーやアルバイトと同じような文脈で扱われている。
一通り読んで思ったことは、投資信託は資産形成のために間違いない方法であるということだ。
FIREを達成した厚切りジェイソンも、その基盤となった戦略は投資信託にお金を預けていたことだと言っていた。
本書では才能や運はなくても全ての人が資産家になれる原則を物語として説明している。
これまでに読んだ成功法則や資産形成の本の全てに共通した考えを、本書を一冊読むだけで学ぶことができた。
短編映画をたくさん観るように楽しく読み進められる。文庫の値段も安いのでよかったら読んでみてください。