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マティスと作品(JAZZ)/プロセスが芸術作品になる時

週末にマティス展に行ってきました。
中央通り@銀座1丁目のポーラビル3F(無料の太っ腹)。
知人に誘われて「はじめてのマティス」を体験してきました。

今日の記事のテーマは、
「マティスと作品(JAZZ)/プロセスが芸術作品になる時」

マティスの作品創作のプロセスがそのまま、
晩年の作品になったという話です。

私は美術館巡りは、よく行くのです。
カトリック美術や、インド仏教、古代奈良とか好きです。
いつも、あるルールを決めて足を運ぶことにしています。
それは、事前に調べ過ぎないこと〈鉄板ルール〉。

コツ1:情報を集めすぎないこと!
コツ2:知りすぎないこと!


「え?絵画の事を知っているっていい事じゃない?」と思うかもしれない。
でも、それは全く違うと思います。なぜか?!
情報収集の効率は、必ずどこかで頭打ちになり・・その後が怖いのです。
情報がありすぎると、「知恵」がまずでなくなるから。
そもそも、基本情報は認知バイアスになり、
ZEROベースで絵が見えなくなります。

そもそも、
『Q: 私がなぜ美術館に行くのか?」というと・・
美しいものをみてくるというのは、副次的なものと考えています。
知覚を強化してくるレッスンとして
美術品をゼロベースでみるようにしています。
『知覚は知識の始まり』だから・・・。
美術品を見る前に、基礎知識が色眼鏡になって、知覚を強化なんて
できない。脳はきっと得た情報との答え合わせをし始めるだろう。
それでは、「知覚力の強化レッスン/セミナー」である本来の意味を
失ってしまいます。


仕事上、難解な生殖医療の謎解きをやっているので、
情報がありすぎると逆に・・知恵が出なくなってしまいます。
そもそも、答がないものを相手にしているのが私の仕事。

「切り口」=課題設定を間違うとドミノ倒しのよい駄作になる。
そして、下手に知識があるからおもいきりバイアスの色眼鏡をかけて
クライアントやDr.に・・
意味のない時間とお金を使わせてしまうのはNGだと思っています。


「課題設定ってそこじゃないだろ?」といつも自問自答している。
それだけシビアに入口は締めています。全員で遭難するからだ。
問題解決の「答」の精度だけをあげてゆくのは・・
間違った山に登山をするようなもの。登山はお金と時間がかかる。
私は、登山のポーターのような仕事をしていると思っている。

道先案内人のポーター@ヒマラヤ

もともとの課題設定そのものが間違っていたかも?と
あとで気づくこと多いと思います。(大ミスをした後に)
私は、問題解決の「答」の精度だけをあげてゆく自分にブレーキをかけたいと思っています。 


■ マティス展で私が気がついたこと「プロセスには、伝える価値がある」

マティス展@ポーラビル3F

私はカトリック者だから、フランスはニースの東の丘のヴァンスにマティスがコンセプトからすべてデザインした「ロザリオ礼拝堂」
あるのは知っていました。       ↑ リンクあり
ただ、それだけしか知りませんでした。 恥ずかしいのですのが・・
それ以外に全く興味がなかったのです。
ヴァンス・ロザリオ礼拝堂(フランス)
Chapelle du Rosaire de Vence 466 avenue Henri Matisse, 06140 Vence

今回のマティス展では
切り絵の「JAZZ」という作品集(20点)みてきました。
晩年の作品です。70歳すぎですよ。

「JAZZ」1947年に270部限定で出版

私が面白いなと思ったことを書きますね。
皆様も何か創作活動をして時には、ヒントなると思います。
創作といっても、論文を書いたり、企画書を書いたりも同じです。

若い頃のマティスの作品は、紙に色紙を切ったりはったりして
これから作ろうとする「作品のデザインの構想」を、
手を使って・・コンセプトをきめていたそうです。
上記のような”即興的で自由度の高い切り紙絵”は、
構想を練る時の魔法のツールだった。

それは、考えるための道具だから、実際の作品を作ったら、
マティスはそんな下書きのプロセス履歴の切り絵など
捨ててしまっていたと言う。ゴミ扱い・・

一見価値のないものに、
ここに未来、大きな価値を後に産むことになりました。

この切り紙という表現媒体は、 それまでのマティスが何十年も行なってきた創作過程(プロセス)モデルを前にした描画からの脱却を意味し、
晩年の芸術家に新しい感覚と新たなる創造の喜びをもたらすことなる。


でも、晩年 マティスは気がついたのでしょうね。
70過ぎて、カラダも若い頃によう動かなくなったけど・・
切り絵こそ”俺の思考のプロセス”・・いいじゃん!って(笑)

「JAZZ」ですが、全体のテーマは 当時流行していたサーカスとマティスの旅の思い出をカタチにしたものでした。
エンターテイメント性と哀愁があります。
幾何学的で抽象的な、切り紙絵らしい表現につけられたユニークなタイトルが、JAZZの世界観を一層引き立てています。

いいですねぇ 世界観・・
JAZZというネーミングですが、
ジャズといえばジャム・セッション。
即興演奏によってリズムを奏でるジャズ音楽の本質と 今の技法が似ているとマティスは思ったそうです。



■ 今回のマティス転での私の”偶然の気づき”

私はプレゼン資料(カンファレンス)を作る時には、
いきなりPCを開いて真っ白なパワポに書き出したりしないです(笑)
じっくりと紙ベース「A4レポート用紙(コクヨ澪ペーパー)」で
下書きをつくります。
 ・課題設定
 ・背景(クライアントやDr.の治療スタイル)
 ・「仮説」と 他の人からはどういう突っ込みが入るだろうか?と
      「自己対話(吹き出し)」でSO WHATやWHYを繰り返します
 
 これらをガチャガチャ書いてから、
 流れをつくってストーリーラインを決めてゆきます。
 (但し 感情を乗せて暴れさせたい時は、ストーリーラインは作らない)
 

先日、私は仕事で大失敗をしてしまいました。十分な準備をせずに
クライアントさまに向き合うという失敗です。彼らがくるまでは
もう時間があまりない! 一体!今 何ならば準備ができるのだろうか?
「そうだ! 最終OUTPUTの形にこだわっている時間がないから、プロセスを見せよう!」と思いました。

泣きたくなるほど時間がなくて、
いつもの下書きのラフの構成メモ(A4レポート用紙)を
書画カメラでパシャっと撮って・・
クライアントさんに、「いつもこんな風に頭の中で考えているんです」とつ伝えました。
今回は これをたたき台に
即興でJAZZのようなジャム・セッションをしました。
前日2日宵でいい年をこいて、飲みすぎたのが原因でした。

〈具体的には何を即効でやったのか?〉
自分が手書きで作ったそのプロセス下書き(A4レポート)をPDFにして、
デスクにマイクを出しました。
今度は、それを読みながら速攻の「ストーリーライン」の音声を20分程度にマイクにぶち込んだ私。
ただ時間がなかったら。変なものは出せないと緊張感だけがあった。
でも・・・緊張感しかなかった。

●15分の音声VOICE(mp.3形式)と手書き構成のPDFの2つを
 本番のカンファでは クライアントさんに渡しました。
 
〈結果はどうなったのか?〉
クライアントさんは、私のカンファのプロセスを一部始終 観て、(私の自分相手の自己対話)VOICEを聞いて感動したらしく・・
「こんなに考えてくれているんですね。
 だから 自分が自然と主治医を説得できるんですね。」と
 以外な褒め言葉を頂きました。

だから、私はその方へこう言いました。

「こんなのでよかったら、こうした下書きPDFとVOICE音源は事前に渡してあげますよ」
「あくまでも、それは叩き台だから、カンファで一緒に色々な視点と背景からあなた(クライアントさん)と会議をすればいいし、あなたも自分の考えが事前に整理ができるでしょうから」と。


■ 美術展でのJAZZはこんな感じでしたよ。

初めに・・
「道化師」サーカスの呼び込みのため寸劇を行う道化師の姿
「サーカス」サーカスの垂れ幕、赤いカーペットと綱渡り
「ロワイヤル氏」長年、サーカスの曲馬団長を務めた人物
「ナイフ投げ」右が的、左がナイフを投げる曲芸師
「馬、曲馬師、道化師」白黒のスカートを履いた曲馬師が馬に乗り、緑のコスチュームを着た道化師の傍に立つ姿


「コドマ兄弟」当時有名だったブランコ乗りの兄弟


珊瑚

余談ですが・・一緒に美術展にいった方(写真の方ではないです)が、
いたくこの6展の絵の右3点を気に入ってみていました。
この3つを気に入っていました。
この絵は、マティスが「タヒチ」の珊瑚を作品にしました。
彼女は、このタヒチに仕事で住んでいたことがあるからです。

以上になります。
これからも誰にも読まれないnote記事を自分の備忘録のために
書き続けられたらいいなぁと思っています。

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