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2017筑波大学/倫理/第一問

【2017筑波大学/倫理/第一問】

問一 以下の文章に謳われている理念は、ヨーロッパの哲学者たちが唱えた社会契約説の影響を色濃く受けていると考えられている。その根拠を次の二点に留意して説明せよ。(400字以内)

1. この文章のどの箇所が社会契約説を反映しているかを明らかにすること。
2. 社会契約説を唱えた哲学者の名前を少なくとも一名挙げながらその思想内容に触れること。

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由をもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」(『日本国憲法』前文)

〈GV解答例〉
日本国憲法前文は、イギリス名誉革命を擁護しその後の議会政治を理論的に支えたロックの影響を強く受けていると言える。まず「国政は、国民の厳粛な信託による」という記述。ロックは、先行する社会契約の主唱者ホッブズが自然状態を「万人の万人に対する闘争」と捉え、それゆえ人民は主権を政府に「譲渡」する必要があると説いたのに対し、自然状態においても権利・自由の相互承認は成り立つが、それをより確実にするために人民は政府に自然権を「信託」し、政府がその信託に沿わない場合は抵抗権を行使して政府の交代を求めることができるとした。次に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」という記述。ロックは、後発のルソーが「主権は分割できない」として直接民主制を志向したのに対し、英国議会の発達を背景に代議制を擁護した。本憲法も直接民主制を許容するが、あくまで前文で規定した代議制を補完するものとしてである。(400)


〈ChatGPTくんの答え〉
この文章は社会契約説の影響を受けています。まず、「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」という部分は、国民が代表者を選び、国政を運営するという社会契約説の基本的な考え方を反映しています。また、「主権が国民に存することを宣言し」という部分も、国民が国家の最高権力を持つという社会契約説の核心を示しています。さらに、「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し」という部分も、国家の権力が国民から委託されるものであるという考え方を明確に示しています。社会契約説の代表的な哲学者としてジャン=ジャック・ルソーを挙げます。ルソーは『社会契約論』で、全ての人々が自由で平等であるという自然状態から、社会契約を結び、一般意志に基づく政治体制を構築することを説きました。この文章の国民主権や代表者を通じた国政運営の概念はルソーの影響を受けています。

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