クロスセルを促す目的

娘が以前に購入した化粧品ブランドが
DMを送ってきた。
仕事柄、何か参考になるかもしれない
ということで、目を通す。
そこで目に飛び込んで来たのが、
なぜか女性用のショーツ。

これって化粧品のDMだよな・・・
化粧品と相性の良い、サプリメントや
ダイエット系の商材なら分かる。
いずれも「美容」目的なので、
ターゲットとなる消費者がかぶる
可能性が高い。

もちろん、化粧品を使う女性は、
ショーツを履くだろうから、
ターゲットとなり得ることは
確かなのだが、
少々唐突感が否めない。

よくよく、メインコピーの前に
小さめの文字で書かれたサブコピーを
読んで、謎が解けた。
女性のショーツ姿が掲載された
通販DMをここに載せるのは少々
はばかられるので、コピーの内容
だけ引用する。

12月のお買い物にプラスワン！「あとちょっと買いたい」方におすすめ！

「あとちょっと買いたい」という
ニーズがあることが、ここから
見て取れる。
即ち、ある一定金額を超えたい、
それを超えるために、
「ちょっと」の金額を上乗せできる
アイテムがこれですよ！
というアピールなのだ。

すぐに思いついたのが、通販なので
「送料無料」の金額まであとわずか、
という場合のニーズ。
このブランドは、3,300円以上の購入で
送料無料をうたっており、ショーツは
1,645円となっていた。
一品では2,000円程度にしかならない場合、
ショーツを足して送料無料にしよう、
と考える人がいてもおかしくない。

でも、ちょっと引っかかる。
DMをもう一度見直してみて、
本丸の目的が判明した。

現在、「冬のキャンペーン」を実施中
とのことで、5,500円以上購入すると
GWP*がついたり、11,000円以上毎に
1,000円相当のポイントが付くといった
販促プログラムが走っていたのだ。

＊Gift With Purchase の略、要は「おまけ」。

4,000円前後までカートに商品が入って
いたら、ショーツを「ちょい足し」して、
おまけをもらってしまいましょう！
というオススメだったと考えると、
すんなり合点がいく。

このような「クロスセル」は、
顧客あたりの平均単価を引き上げるための
施策として説明される。
ハンバーガーを買う顧客に
「ポテトはいかがですか？」と
勧める例はあまりにも有名。

今回の化粧品ブランドの例も、
正に「クロスセル」だが、
化粧品とか美容からは遠いカテゴリの
商材をオススメしている点で、
なかなか興味深く感じたので紹介してみた。