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高速道路理論

2006年の本なので、もはや14年以上
経っている。
梅田望夫さんの『ウェブ進化論』という
ベストセラーがあった。

今読んでも大分驚きは薄れている
だろうと思われるが、発売当初は
かなり話題になり、私も読んだ
記憶がある。
何が語られていたかは、すっと
思い出せるほど頭に入っている
わけではない。
しかし、ちょくちょく自分の界隈で
話題にのぼるのが、将棋の羽生善治
さんによる「高速道路理論」だ。

ウェブの進化によって、あるいは
デジタル社会の到来によって、
ある程度までの知識であれば、
誰でも手軽に、たやすく、
コストもさほどかけずに取得する
ことができるようになった。

棋士の世界もまさにそうで、誰でも
良質の棋譜に簡単にアクセス可能と
なったがために、比喩的な意味での
「高速道路」に乗って、ある程度の
レベルまでは、昔に比べると
ものすごいスピードで到達する
ことができる。
これが「高速道路理論」だ。

この理論はもちろん棋士の世界だけ
でなく、あらゆる世界で通用する
話である。
知識のあるなしだけで優位性を
築けていた「特権階級」的な人たち
は、自分を高める努力を怠って
いれば、あっという間に追い抜かれ
てしまう。

ホリエモンが5年ほど前に、鮨職人に
ついて「何年も修行するのはバカ」
的な発言をTwitterで行い、大炎上
したことがある。
その後、鮨屋に修業は必要か?
というテーマで鮨職人たちと対談を
した本を出版し、転んでもただでは
起きないというか、さすがの視点、
戦略眼と言うべきか、改めて彼は
大したものだと感心しきりだった。

この中でも触れられていた思うが、
知識やテクニックは色々なところで
学ぶことができるのだから、
ただやみくもに
「過去そうだったから」
という理由だけで長くて辛い修行を
黙々とやる時代ではない、という
のは確かなのだろう。

一歩引いて全体を俯瞰して、
なりたいものと自分の現状との間に
どんなギャップがあるのか、
何が足りていないかを冷静に把握
して、それを埋めるために何が
ベストなのかを考える。
そういう「戦略的思考」を持つ
ことが、棋士であろうと鮨職人で
あろうと、プロを目指す以上は
必ず求められるのだ。

もちろん、昔からこのような
「戦略的思考」
を持つ人が、プロとしてより早く
頭角を現し、より大きな活躍を
されてこられたのに違いない。
ただ、「高速道路」が至る所に
整備された今、昔よりも更に
求められる度合いが高まっている
のではなかろうか。
そんな風に思うのである。

自分が身を置くマーケターの世界
でも事情は同じ。
常に戦略的視点を維持しながら、
日々プロとして腕を磨いていく
ことが求められるのだ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。