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二千花 / リバーズエッジ (2009)

こういう幸せな出会いがあるからだ。noteをやっていて良かったと思えるのは。

先日、ご縁があって、フォローをしてくださったあおいねずみさんのこちらの記事を拝見して、驚きそして胸が弾んだ。

記事にも書かれているように、リバーズエッジ二千花という男女ユニットが2009年にリリースした楽曲。ただ、二千花は同じ2009年に解散、その後2012年に再結成しているが現在は実質活動休止中だという。

彼らの曲を聴くのは初めてだった。けれど、二千花という名前にはどこかで見覚えがあるような気がしたのだ。

あおいねずみさんとつながる前日に、ChappieのアルバムNEW CHAPPIEについて書いていた。このアルバムに収録されているデリカシーのかけらを歌っているのが、まだデビュー前の二千花のボーカル宮本一粋さんなのだそう。(Chappie Wikipedia 脚注より)

デリカシーのかけらはJackson 5ABCを彷彿させる高音ボーカルのダンサブルな曲だから、リバーズエッジの印象とはかなり違う。だが、それでも、歌の上手さと声の良さは不世出のものなんだなと思わずにはいられない。

世の中にリバーズエッジが流れていたはずの年に私は、流産、その後の不妊と体調不良、育児の重圧、うまくいかない職場の人間関係、仕事の行き詰まり、母の半年の余命宣告、妹の結婚の破綻…。嫌なこと、苦しいことが次々重なっていて、正直、どうやって日々の生活をしていたのか記憶が曖昧な部分が多い。

ボクたちは人間によく似た生きもの
こんなに冷たい手と手をつなぎたい
もっと弱く もっと弱く生きてみてください
金色の雨が世界中に降ってる
ボクたちはこの川のほとりで
裸足と裸足で笑った

もし、あの頃に、この曲に巡り合えていたら、もっと早く、どうにもならない思い込みや虚勢を捨て、もっともっと自分とまわりの人たちを大切に出来たんじゃないか。強くあろうとするあまり、頑なに全身を覆っていたトゲを、溶かすことが出来たんじゃないか。

そんな思いは詮無きことなのだけど。


リバーズエッジのMVの撮影地は荒川の河川敷であるという。

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MVには、ゆっくり歩く宮本一粋さんの後ろにかつしかハープ橋上平井水門が映る。このあたりは、荒川と綾瀬川、中川の合流地点。

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宮本一粋さんが進む右手に続いている首都高中央環状線は、葛西JCTから小松川、平井大橋、かつしかハープ橋を過ぎ、堀切、千住、扇大橋から江北橋まで、荒川沿いをずっと北上していく。

私は車の運転もしないし、首都高速が張り巡らされた東京都心で生まれ育ったから、それは普段はうるさくて影を落とす邪魔なものとしか思っていなけれど、唯一この区間だけは好きだ。高速道路から広い空と、風に撫でられて川面が光っているのが見えるから。


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どうして川を見たくなるんだろう
すみれの風が街へ渡る リバーズエッジ
みんなここに捨てに来るんだよ
錆びついた金網登ったら 月だった

高校生の頃、辛い気分になると「なんか川が見たくなった」って言っては、親友と二人で授業をサボり荒川の土手に行った。

路線バスに乗り、河川敷の誰も居ない野球場のベンチに座り、川からの風に吹かれ、ポッキーとか食べながら、どんな話をしていたのか。きっと恋愛や友情や進路や悩むのはそんなのばっかりだったと思う。甘ちょろい考えの弱い自分達の姿も、川の前ならさらけ出せた。

そうやって、ときに襲ってくる未来への不安、持て余した未熟な心を大きな川に捨てに行っていたのかもしれない。


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河川敷で、数年前の息子の姿と同じような野球少年を眺めて、リバーズエッジを聴いたら、やっぱり涙が流れてきた。

もっと弱く もっと弱く生きてみてください

でも、歌を聴いて、それで良いんだと思えて、すごく幸せな気持ちになれた。

また、川を見に来よう。


あおいねずみさんのnoteに出会ってから、この数日間でリバーズエッジを何度聴いたかわかりません。そして、二千花、宮本一粋さんのほかの曲もyoutubeやspotifyで聞ける限り聴きました。エーデルワイスA HAPPY NEW DAYあたらしい水愛情、……そして、この恋について、ぜんぶ。

どれも、素晴らしい曲ばかりでした。あおいねずみさん、こんな素晴らしいアーティストと楽曲に出会わせてくださって、本当にありがとうございます。願わくば、いつかライブで二千花の歌声を聴くことが出来ますように。


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