普段触れないものに敢えて触れてみる
先日、野暮用ついでに、新国立美術館で
開催されていた書展を見て来た。
書の心得などいささかもないところ、
半分は思い付き、半分はノリと勢いで
お邪魔した次第。
小学校低学年の頃に、習字の教室に
通っていたことはある。
大して上達することもなく、
引っ越ししたことも重なって
あっさり通わなくなってしまった。
今では、書き初めすらしない、
書とはほとんど縁のない生活。
それだからこそ、普段使っていない
脳を刺激するのではないか。
そんなことを考えたのだ。
結論から言えば、行ってみて良かった。
あぁ、こういう世界もあるのだなぁ、
という感慨にふけった。
行かなければ分からない世界がそこに
存在していたのだ。
そんなことが分かっただけでも、
行った価値があるというもの。
「書」というよりは「絵」に近い、
そんな感想を抱いたのが、冒頭に
載せた写真の作品。
川の流れ、いわば「奔流」が、
文字の形にうねり、流れているかの
ような、迫力のある作品である。
少ない文字を、ドーンと大きく書く
作品が多いが、詩作や歌詞を書いている
ものも意外とたくさん展示されていた。
字の味わいを愛でつつ、そこに書かれて
いる内容をじっくりと味わうことが
できたのはなかなか良い経験。
谷川俊太郎の「朝のリレー」など、
懐かしさのあまり、思わずじっくりと
見入ってしまった。
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マーケティングの仕事は、
人にモノを買ってもらうための
お膳立てをすることが多い。
それを効果的にやろうと思ったら、
人は何に興味を持つのか?
人は嬉しい時にどう反応するのか?
つまらない時にはどうか?
財布のひもを緩めるトリガーは何か?
他にも色々あるが、とにかく「人」の
ことをよく観察し、理解して、その
「人」のココロを動かす企画を考える
必要がある。
沢山の人の気持ちの「ヒダ」に触れ、
ココロに対する理解を深めることで、
企画に一本筋が通りやすくなっていく
のだろうと思うのだ。
一口に「人」と言っても千差万別。
ありとあらゆる種類の主義・嗜好を
持った方々がいらっしゃる。
そのありとあらゆるものを理解する
ことは到底不可能。
しかし、そんな「不可能性」を認識し、
その上で可能な範囲で幅広く理解する
ための努力をすることが、企画する
人間として必須な心構えだと思うので
ある。
更には、自分の知悉する範囲、
「コンフォート・ゾーン」から
敢えて飛び出していくような積極的な
行動力が、企画に魂を込めることへと
つながるのだ。
普段、頻繁に見聞きしている範疇に
とどまるのではなく、そこから一歩
踏み出してみる。
まだ1月は始まったばかり。
今年の目標に加えるのに遅すぎると
いうこともない。
何か新しいことにチャレンジする、
新しいことを取り入れてみる、
余裕でできるものならば、敢えて
捨ててみる。
さて、次はどこに行こうか?
あるいは何を体験しようか?