哲学の「おいしい」ところを網羅的に学ぶ
何かを突き詰めようとすると、
結局は哲学に行き着く。
本質を捉えようともがくと、
哲学が待ち構えている。
そんな感覚を、自分自身は
持っている。
哲学というと、堅苦しいイメージが
つきまとう。
実際のところ、何かと小難しいし、
理屈っぽいし、誰もがすんなりと、
容易に理解できるような内容からは
程遠い場合が多い。
そうは言っても、やはり人生にとって
哲学は役に立つ、はずである。
少なくとも、役立たせる意識で哲学を
学び、あるいは役立つように何らかの
仕組みを作ったりすることが大切だと
思う。
Kindle Unlimitedに加入して、毎月
サブスク課金が980円引かれていくの
だが、元を取るべく、せめて一週間に
一冊位は読みたいなと思っている。
最近は積読が溜まり過ぎて、なかなか
想定通りには行かない状況だが、
それはさておき、先般
「まもなく無料期間が終了!」
という案内リストが来た中に、
この本があった。
ベストセラー作家の山口周氏が、
哲学のキーコンセプトを、50人の
哲学者や思想家からそれぞれ1つずつ
ピックアップして語るスタイルの本。
誰でも聞いたことのありそうな、
だからこそ今さら人に聞くのは少し
憚られる、でもいざ説明しろとなると
心許ない、そんなコンセプトたちを、
明快に説明してくれる。
コンセプトが50に分けられていて、
一つひとつの章がコンパクトに、
かつ大変読みやすくまとまっていて、
哲学に苦手意識を持っている人には
大変に重宝すること間違いない。
哲学の本なのに、マーケティングの
話までカバーしていることにも正直
驚いた。
ボードリヤールというフランスの
著名な哲学者が、その著書の中で
「消費」という言葉を再定義し、
「消費とは記号の交換」
であるとしている話を紹介して、
マーケティングの理論で説かれる
差別化、差異化という考え方と
結び付けてくれる。
要は、人が消費をするというのは、
そのモノが使えさえすればいい、
というような単純なことではなく、
社会が発展するにつれて、消費
自体に「人とは違う(=差別化)」
という価値が追加されていくのだ、
そういう話である。
好むと好まざるとにかかわらず、
私たちは「選択」の連続の中を
生きており、「消費」においても
それは当然当てはまる。
「消費」する際には、何がしかの
「選択」をするわけだが、それが
自動的に「他を選ばなかった」こと
になり、そこに記号が生まれる。
私たちは、そんな「記号の地獄」
から逃れられない、という指摘は
なるほど!と感じた。
とは言いながら、自分で書いていて
少々小難しいかなと思いつつ、
それでも恐らくは原典にあたって
いたら解読にかなり長い時間がかかる
であろう内容を、極めてコンパクトに
まとめてくれている点で、一読の価値
ある本であることは間違いない。
いや、一読で終わらせず、気になる
ところは二度三度と読み返すことで
各哲学分野の「おいしい」部分を
理解できる良書だと思われる。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。