ゴディバの社長が考える「ブランド」の定義
ジェローム・シュシャン社長は、
これまでに何冊か本を出されている。
以前に、『ターゲット』という本を
読み、内容を紹介したことがある。
その後、新たに出された本があり、
長らく積読だったのだが、
ようやく週末に読み終えた。
前出の『ターゲット』同様、
エッセイ風で読みやすい。
英語やフランス語で下書きしたのを
日本語に直しているのか、
最初から日本語で書いているのかまでは
分からなかったが、
いくら日本語も堪能な氏とはいえ、
恐らくはブックライターが入って
いるのだろう。
非常に読みやすく、スイスイと最後まで
読むことができた。
コンビニとのコラボをはじめ、
随分と新しい試みを積極的に展開して
いる印象のゴディバだが、
この本を読めば、なぜそのような動きを
しているかの背景、シュシャン社長の
意図が見えて来る。
要は、ブランドとしてのDNAは大切に
しつつ、常に新しいことを試みて
間口を広げていくことで、ブランドの
顧客層を広げ、活性化していこう、
ということだ。
そんなシュシャン社長が、
「ブランドとは何か?」
という問いに、自ら答えている。
つまり、主語・主体は企業であり、
その企業がどのような姿勢を保って
いるかということだが、
そのすぐ直後に、このような説明が
出て来る。
今度は、企業と消費者との間に存在
する信頼関係だというのだ。
揚げ足を取るわけではないが、
立て続けにこれらの文が出て来ると、
一体どちらなのか、少々意図が読み取り
にくいかもしれない。
その前段で、ブランドの語源は牛の焼印だ
という話にも言及しているし、
そもそも天下のゴディバというブランドを
担っている会社の社長である。
当然ながら、ブランドという言葉をよく
理解しているのは疑いない。
あえて、氏の言葉を補足してまとめるならば、
こういうことだろう。
高級チョコレートブランドとして、
確固たるイメージを築いてきたゴディバ
であるが、氏の新たなチャレンジを
ここ数年見てきた中で、
ブランドとしての高級感、世界観が
崩れてきているのではないか、
少々心配する気持ちがあった。
実際、そのような心配の声、あるいは
新しい試みへの反対意見が、社内でも
挙がったことが書かれていた。
しかし、チョコレートを通じて、
「お客様に幸せな瞬間を届ける」
というブランドのパーパスを実現するため
に、アクセシビリティ(手軽に買える)を
上げる試みだということで、
社内の意思統一は図れている様子だ。
チョコレートブランドとして、
「スーパープレミアム」な存在だった
イメージのゴディバ。
現在目指しているのは、
「手の届くプレミアム」という位置付け
なのだろう。
結局のところ、ブランド価値を決める
のは消費者である。
企業側の意図通りに、ブランドの価値が
評価されるのかどうか。
興味深く様子を見守っていきたい。
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