ミニ国家🇱🇮リヒテンシュタインで城とワイナリー🍇とアルプス🏔️と
滞在中のチューリッヒからGoogleマップ上で行き先を決めるスイス日帰り一人旅。
第2回目(にして最終回)の行き先は「リヒテンシュタイン」です。
チューリッヒからルツェルン、ベルンと行ったので(日記のリンクは最後に貼っておきます)、次はジュネーブや国を跨いでドイツやフランスでも、と考えたのですが移動時間がかかりすぎるし、日帰りなら片道2時間以内が理想的。
そこで目に留まったのがスイスとオーストリアの間にある小国、リヒテンシュタインでした。
今回は、チューリッヒからの日帰り旅行や、リヒテンシュタインに興味がある方、ワイナリー訪問好きの方におすすめの内容かなと思います。
リヒテンシュタインについて
リヒテンシュタイン公国は全長25kmという小さな国で、ドイツ系の貴族であったリヒテンシュタイン侯爵家が統治している立憲君主制国家。
通貨や言語はスイスと同じスイスフランでドイツ語圏です。
東京都だけで90kmと考えると25 kmは一国のサイズとしてはかなり小さいことが分かりますね。
わたしは、仕事の中でリヒテンシュタインを知り、いつか行ってみたいと思っていたのでした。
チューリッヒからの行き方
チューリッヒ中央駅から電車でザルガンズ(Sargans)まで54分。
ザルガンズからバスでリヒテンシュタインの首都ファドゥーツ(Vaduz)まで23分。バスは頻繁に出ているようです。
片道1時間半もあればお釣りが来るくらいの移動時間です。
今回は、駅のチケット券売機の画面で、行き先を「Sargans」と入力して往復チケットを買いましたが、「Vaduz」と入れるとバスも込みで買えると何かのサイトに書いてありました。(すいません、うろ覚え)
今回、電車からバスの乗り換えがあまり時間がなかったのでバスも含めて最初に買ってあると時間に余裕がありそうです。
ザルガンズまでの車窓の景色は必見!
チューリッヒからザルガンズまではチューリッヒ湖とヴァレン湖の岸辺に沿って鉄道が走っています。
この景色が言葉を失うほど本当に美しいです。
ザルガンズ駅(Sargans)に到着したのは11時半すぎ。
Googleの乗り換え案内では、バスの時間まで4分程度でした。
あまり時間がないので迷ったらどうしようと心配でしたが、駅はコンパクトなので電車から降りてすぐにバスロータリーがあり、すぐに乗るバスが見つかりました。
バス代は8CHFです。乗車時に支払います。
リヒテンシュタインの首都ファドゥーツに到着
10時38分にチューリッヒを出て、12時ちょうどにファドゥーツ(Vaduz)に到着しました。
リヒテンシュタインにワイナリーがあると言うくらいしか調べてないので基本的にはノープランでした。
散策してるうちに色々わかってきたので一通り歩いた軌跡がこちら。
移動距離だけで約5kmで1時間40分くらいです。
わたしのリヒテンシュタインでの全滞在時間は5時間程度でした。
Yamapからルートを確認できます。
それでは散策の様子をご紹介します!
まず到着するファドゥーツのバス停「Vaduz, Post」で降りると、その裏に観光スポットが集まる500m程度のコンパクトな通り「シュテットレ通り(Städtle)」があります。
シュテットレ通りで目にする主なスポットを紹介しておきます。
・郵便博物館
リヒテンシュタインは切手のデザインや印刷技術の高さが有名で切手にまつわる展示を行う博物館に行ってみました。
無料のトイレがここにあります。
・ヒルティ・アートファンデーション&リヒテンシュタイン美術館
ヒルティ(HILTI)はリヒテンシュタインに本社がある、日本でも建築や工事関係なら誰でも知っている工具機器メーカーです。
もし、ヒルティのカンパニーショップがあってオリジナルグッズが買えたらと思ったのですが、そういった情報は見つからず、かわりにリヒテンシュタイン美術館の隣にヒルティが所有する美術館、ヒルティ・アート・ファウンデーションがあるのを見つけました。
ワイナリーでのんびりしすぎて時間がなくなってしまい、今回は見送りました。
リヒテンシュタイン美術館については日本語でも名前がネットに出ていますがヒルティの美術館について日本語でどこにも言及されてなかったので簡単に比較してご紹介します。
・ヒルティ・アート・ファウンデーション(Hilti Art Fundation)
現代美術に焦点を当てており、20世紀のアート作品を多く展示しています。ヒルティ家による私設のコレクション。
作品の展示方法や空間の使い方が現代的で、アートと観客との対話を重視しています。
・リヒテンシュタイン美術館(Kunstmuseum Liechtenstein)
歴史的な美術作品や古典的な絵画、彫刻に重点を置いています。
リヒテンシュタイン公国の公的な美術館で、国の文化遺産を紹介しています。
より伝統的な美術館のスタイルと展示方法を採用しています。
・リヒテンシュタイン観光案内所
リヒテンシュタインへの入国はパスポートの提示は必要ありませんが、この観光案内所では記念にパスポートにスタンプを押してもらえたり記念切手を買うことができます。
・国立博物館
15世紀に建造された建物でリヒテンシュタインの文化や歴史を知ることのできる博物館。
紀元前の陶器から中世の貴族縁の品、生息する動植物の展示があるようです。
お土産屋さんもあります。
・国会議事堂と国立公文書館
博物館の並びにあるとんがり屋根がリヒテンシュタインの国会議事堂で、右側に公文書館があります。国の歴史にまつわる文書や資料が収められています。
・ファドゥーツ大聖堂
18世紀に建築されたネオゴシックの教会。
リヒテンシュタインを第二次世界大戦のナチス勢力から防ぎ中立に導いたフランツ・ヨーゼフ2世とその奥さんが眠っています。
ファドゥーツ城とアルプスを望む森林浴へ
シュテットル通りを歩いていると常に頭上に見えるファドゥーツ城。
現在も侯爵の居城とされる場所なので、ここには近づくことも出来ないと思っていました。
しかし、通りの終点あたりで城側に登っていく道を見つけ、もしや近くまで行けるのではと思い登ってみることにしました。
登り切ったあたりにカンツィレ展望台があります。
これはなかなか映える景色です!
ライン川の向こうの山はもうスイス領。
リヒテンシュタインの小ささが分かります。
展望台から1分くらいのところにお城があります。
城前で難しい顔をした人が沢山立っていたり厳重な警備があるかと思っていたのですが、人気がなくとても静かな場所でした。
ファドゥーツ城は12世紀から存在するお城とのことです。
丸みを帯びた形が特徴的です。
城の先を見ると、山なりに続く林道があり、地図を見ると林道の先がワイナリー方面のようです。
せっかくなので自然散策をすることにしました。
林道からは山々を背景にお城を少し高いところから見渡せるので、せっかくお城まで来る方はこのクヴァドレチャ通り(Quadretschaweg)まで来ると良さそう。
お城に別れを告げて森を歩きます。
とても清々しくて気持ちよいです!
街に降りてきました。
山に囲まれ、のんびりとした住宅地を歩きながらワイナリーを目指します。
王子様所有のロイヤルなワイナリーでテイスティング&ツアー
13時半ごろ、城から森の道を1.5km程度歩いてワイナリーに到着。
Hofkellerei des Fürsten von Liechtenstein(Cellars of the Prince of Liechtenstein)はその名の通り、リヒテンシュタイン王子が所有するワイナリーです!
ワイナリーに隣したブドウ畑は、ライン渓谷の南西向きの斜面に面し、スイスアルプスから吹き下ろされる冷たい風と暖かく乾いた「フェーン風(Föhn)」の影響を受けた、水捌けの良い石灰とスレート土壌のブドウに理想的な環境。
ブドウ畑の面積はたったの4haしかなく、ワインのほとんどは国内で消費されている希少なワインとのこと。
これは試さずにはいられません!
ウロウロしていると14時半からのワイナリーツアーとテイスティングがあるのを見つけ参加してみました。
料金はCHF19(約3,300円)です。
9月の末日、ブドウ畑はピノ・ノワール収穫の真っ最中。
この数日で全てのブドウを収穫してしまう予定とのことで、タイミングよい日に来られました。
畑のブドウはほぼピノ・ノワールで、シャルドネがわずかに植えられていますが、シャルドネはリヒテンシュタイン公爵家や、一部の高級レストランでのみ消費されているそう。
ツアーでは畑の他に、ワインを発酵中の醸造所や古いワインを貯蔵しているセラーを見せていただきました。
最後にテイスティングルームでワインを7〜8種類テイスティングしました。
ツアーの参加者は9名で、US6名、シンガポール(チューリッヒ在学中)2名、日本1名という内訳。
雑談中、USのテキサスから来たという男性に、
「日本に行くなら何月がオススメなの?」
と聞かれました。
最近よく答えるわたしのテンプレで、
「海外でみんなに言ってるんだけど、日本には何月に来ても楽しめるよ。ただ最近は夏は40℃近くまで気温が上がるからオススメできない」と答えると、
彼は謎に自信たっぷりな表情を顔に浮かべ、
「ヘイ、キミはぼくがどこからきてると思ってるんだい?!」
と言います。
あっ、テキサス…(テキサスも40℃くらいになる)と察したところで、
「そうだね、これからはテキサスの人なら夏も大丈夫って言うことにするよ」
と返すと、また謎に満足そうな顔をしていました。
日本の真夏に来て高温だけでなく、USでは体験できない殺人的多湿のなかで、飽和水蒸気に溺れてバテれば良いのに、と心の中でほくそ笑んだわたしは罪な女(?)。
ワインの総評
たくさんテイスティングさせていただいたので個々のワインについてはほとんど忘れちゃった。(ごめん)
オーストリアにある自社畑のリースリングやグリューナー・ヴェルトリーナー、ツヴァイゲルトと、ファドゥーツのピノ・ノワールのワインを何種類かいただきました。
自然派のワイン造りとの事だったけど、スイスワインに似てクリーンで丁寧な造りでナチュラルワインにありがちな嫌なクセのあるアロマがなく、透明感があり繊細な日本食でも合わせやすそうなワインでした。
購入したワイン
今回買ったワインはミニボトルを入れて3本です。
スイスへはスーツケースを持って来なかったので、フィンランドへどう持って帰ろうと思いながらつい買ってしまいました。
・Liesecco
ムスカテラ、ソーヴィニヨン・ブランの微発泡。
ツアーの最初にウェルカムドリンクとしていただいた白ワインで、ほどよくアロマティックで、飲み口がライトで心地よく、誰もが楽しめそうなワイン。
うちでも友達がきた時に、リヒテンシュタインのワイナリーに行ってきたよ〜と会話を弾ませながらよく冷やしてウェルカムドリンクにしようかと思います。
・Pinot Noir AOC Vaduz 2022
貴重なファドゥーツ産のピノ・ノワール。
洗練されたクリーンなワイン、ベルベットのように滑らかでスパイシー。
ワイルドベリーのような豊かな果実味が舌上と鼻腔を満たして、余韻を楽しみながら飲めるワイン。
リヒテンシュタイン以外では入手が難しいワインなので、それだけでも買う価値がありそうですね。
・F.L Premier Brut
リースリング、グリューナー・ヴェルトリーナーで造られるシャンパーニュ製法のスパークリングワイン。
何世紀にも渡り所有するオーストリアの自社畑の古木から収穫されるブドウを使用とのこと。
桃のような果実味とクリーミーな泡が弾けてするする飲みたくなるワインです。
帰りの電車で飲もうと、ミニボトルで買いました!
ワイン箱を飛行機に乗せたい(Registered Bulky Items)
スイスから木箱に入った合計3本のワイン(スイスでも1本買いました)をフィンランドに持ち帰ることになり、チューリッヒ空港のカウンターで相談すると、壊れ物専門のカウンターに持って行って、と言われ、その後はすんなり割れずに持って帰れました!
おわりに
チューリッヒからリヒテンシュタインへの旅はとても楽しかったです。
移動中の景色も窓に張り付きになるほど素晴らしくて道中から楽しめます。
ワイン好きの方は、リヒテンシュタインワインを買って帰ってワイン会に持って行けば喜んで貰えるのではないでしょうか?
ファドゥーツ以外の街にも行ってみたく、またチューリッヒやオーストリアなど近くに来たら寄ってみたいです。
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