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フィンランド独立記念日のいちにち
日本のアルプスでは天然記念物の雷鳥の一種、Riekko(リエッコ、樺太雷鳥(カラフトライチョウ)が独立記念日に食べられるレストランがあるよ!と言われ食べに行って来たのですが、ちょっと待って、フィンランドの独立記念日ってなによ、と言うのもあり、頭から書いていたら長くなったのでここでは一旦レストランに辿り着くまでの道のりまでを書いておこうと思った話です。
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この雷鳥は大統領邸の独立記念パーティーでも振舞われている特別な鳥のようなので、背景を書いておきましょうか。
フィンランドの独立記念日
1917年12月6日、フィンランドは一つの国としてロシアから独立しました。
ロシア統治以前は、スウェーデンに11世紀頃より支配されており、本当にフィンランドが「国」となったのはここ100年くらいというのは驚きですよね。
それだけにこの独立記念日はフィンランド人にとって特別な日になっています。
特にここ数年はロシアが戦争下にあり、この日の重さを感じられる日になっているのではないでしょうか。
12月6日は祝日で、街のほとんどのお店や施設がクローズしています。
レストランやカフェ、バーなどは営業しているところもあります。
独立記念日のテレビ
なので、家でゆっくりすごす人が多く、テレビをつけてゴロゴロすることも多い独立記念日の特別番組がこちら。
戦争映画「無名戦士(Tuntematon sotilas)」
「無名戦士(Tuntematon sotilas)」は、毎年、独立記念日に放送されるモノクロの古い映画。
1941年以降のロシアとの継続戦争での兵士たちの姿をリアルに描いた作品です。
1955年の作品で、3時間の超大作になっています。
終戦から数年後に発表された長編小説がもとになっており、人々の心の傷が癒えない頃、兵士の立場から赤裸々に語られた物語は物議を醸していたようです。
1985年と2017年にリメイクされています。
最初の映画で描ききれなかったエピソードなどが再現されているとのこと。
長いけどとても良い映画なので機会があればぜひ。
2017年作品のイケオジのRikkaがダンディでカッコよいです。
独立記念日はリメイク作品ではなく最初の作品が放映されます。(一度だけ85年版が放映されたらしい。)
フィンランドでは、独立記念日の昼にのんびり起きてきてテレビをつけるとこの映画を放映していたり(わたしはまさにこれ)、昼からローカルバーに行く(他の店がだいたい休みだから他に行くところもなく)と、この映画が流れているので、お酒を飲みながらぼんやり「独立記念日だなぁ」と思いながら周囲の客と観たりしているそうです。
独立記念日コンサート
フィンランドを代表する偉大な音楽家、シベリウスの「交響詩フィンランディア」などが演奏される記念コンサートがテレビでも放映されます。
わたしとダンナが外出する直前にこのフィンランディアがテレビで演奏され始め、あまりクラシックに興味のないダンナも、
「これだけ聴いていこうか」とテレビの前に座り感慨深げに聴いていたので、この日のフィンランド人にとって特別な曲なのだなと感じました。
こんな曲です。
大統領邸パーティーの様子
ヘルシンキ港前にある大統領邸にて記念日のパーティーが行われます。
「宮殿の舞踏会(Linnanjuhlat)」と呼ばれるパーティーです。
政治家や、スポーツ選手や俳優、フィンランドに寄与する活動をされた方などが招待されます。
テレビではパーティーの前に2時間くらいひたすらゲストと握手をし続ける大統領の様子が流れています。
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ダンナに言わせると、「ホントにひたすら人が握手してるのを観るだけなんだ。でも、これを観ると独立記念日だなぁ、って思うよ。」
そして、
「独立記念日の次の日にテレビや新聞で、パーティーでは誰が来てどんなドレスを着てたかのニュースを見るまでがワンセットの風物詩。」と言っていました。
日本のワイドショーみたい!
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独立記念日の街の様子
ディナーのレストランに行く前に、クリスマスマーケットが開かれているヘルシンキ大聖堂や、記念パーティーが開催されている大統領邸を見てきました。
日中は式典やパレードもあったようです。
ヘルシンキ大聖堂
大聖堂の階段では記念スピーチや、シベリウスのフィンランディアと、国家の合唱が行われ、クリスマスマーケットに響いていました。
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やはりフィンランディアは特別な曲なんだなぁとわたしも感慨深くなりました。
こんな歌です。
大統領邸
大統領邸に向かうと周辺道路が封鎖されていて近づけないようになっていました。
中から明かりが見え、パーティーの賑わいが伝わってきます。
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独立記念パーティー門外不出のカクテル
大統領邸の独立記念パーティで振る舞われる特別なカクテルに「リンナンボーリ(Linnan Booli)」があります。
お城のカクテル(パンチ)という意味で、1949年の独立記念パーティーで当時の大統領夫人が作ったものらしい。
当時からそのレシピは秘密でしたがオリジナルレシピが流出してしまい、その後レシピに修正が加えられたようで、再びその味はヒミツになってしまいました。
いつかパーティーに招待されたら飲んでみたいなぁ!?
オリジナルレシピ
1970年に公開されたオリジナルレシピ。
アルコールは11%くらいの飲み物とのこと。ユーゴスラビアのリースリングが手に入るかわからないけど、似たもので近々作ってみようと思います。
・ユーゴスラビア リースリングワイン(Jugoslovanski Rizlingiä) 1 1/2 ボトル
・ボルドー 白ワイン(Bordeax Biancia)1/2 ボトル
・ドライ エリゼ スパークリング(Elyséetä kuivaa)1本
・ホワイトポート(White Portia) 2dl
・テーブルリキュール (Pöytäviinaa)1本
・レモン皮エキス 2滴
・グレープソフトドリンク 3本
リンナンボーリは売られている?!
この時期にスーパーでリンナンボーリと書かれたお酒が売られています。
オリジナルレシピをもとにアレンジが加えられたドリンクで、オリジナルとも現在のレシピとも違うようです。
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飲んでみた感想をシンプルに言うと、カンパリとスパークリングワインを割ったような味でした。
オリジナルレシピのホワイトポートの香りと、アレンジで加えられたベリーが合わさってそんな風味になったのかもしれません。
こちらもレシピは公開されていません。
おわりに
フィンランドは独立を経てそれまで閉ざされていた自国のアイデンティティを開花させてきています。
1000年以上もどこかの国に属しながら、影響を受けブレながらもブレずに独自の言語等を守って来れたのは凄いことだなと感じます。
陸続きで左右に支配された国でありながら、なんとなく文化や人が島国的なフィンランド。
一島国出身者としてこれからも興味深く観察していきます!
リエッコのお肉を美味しくいただいた記事に続く。