逆回転はお手軽でおもしろい
元はフリーランスとはいえ、客先常駐型でサラリーマンと同じように生活していると、毎日見る風景は必然的に同じになる。
自宅から駅までの道のり。電車内の風景。電車を降りて会社までの道のり。
そうそう、電車の中ってたくさんの人が乗っているのに、だいたいいつも同じ人を見かけるよね?
そりゃそうか。同じ時間の電車に乗っていればこそ。ぼくだけじゃなくて他のみんなにもそれぞれにルーティーンがあって、そのルーティーンの中に組み込まれた電車に乗っているというだけの話。
だけどきっとそれだって当たり前のようで当たり前でもない。
ぼくが見ている人は、その人の人生を生きているわけで、自分が操作しているわけじゃない。その人にだってさまざまな事情があり、その中でも今日も変わらず出勤できている。
…ちょっと自分でもなに言ってるかわかんなくなってきた。
たぶんぼくが言いたいのは自分が思っている人のことは、そんなにわかってるわけじゃないよってこと。当たり前だけど。
人生では、毎日同じ生活を繰り返していると変化を感じにくい。現に、ぼくは社会人になってから転職も何度かしたしいろんな職場には行ったけど、本質的なことは何も変っちゃいない。
職種が変わったこともないし、自分で起業したりとか大きな動きをしたことはない。ぼくはヘタレでポンコツだからそんな人生でも紆余曲折があったようには思うけど、本質的には、やっぱり変わっていない気がするな。
自分の人生が「平凡で退屈だ」と思い始めると、本当にそんな気がしてくる。
その考えが退屈だ。
とも思うんだけど、やっていることが変わっていない以上は認めざるを得ないんだよね。
毎日の通勤経路は変わらない。そりゃそうだ。別のところに行くわけにはいかない。
帰り道に買い物に寄り道をすることはある。それはちょっとぼくの人生にも似ている。
ぼくは転職も経験しているし、エンジニアという職業柄なのか勤務先もコロコロ変わっていた時期もある。
だけど、どうやらぼくにはそうやって環境がコロコロ変わることはあまり向いていないみたいだというのが最近になってようやくわかった。
というよりも、認められるようになったというべきかな。
自分がストレスに感じていることはストレスだと認めたくないのかも。
ダイエットしているのにお菓子をパクパク食べて「なぜ体重が減らないのか?」と言っているようなものだ。
そういえば今の職場にも同じような人が居て、毎日のように
「ぼくの家計はコレステロールがなぜか高いんです」
と言いながら、次の瞬間にはオフィスグリコからスナック菓子を買ってきて小気味良い音を立てながらムシャムシャしている。
人は無意識に自分の都合の悪いことにはフタをしている。
ぼくが環境の変化に弱いことだって、自分で認めたくなかっただけ。新しい職場に行くと常に緊張状態。表面上はなにごともない顔をして淡々と仕事をしている・・・ように見せていた。
実際にぼくと一緒に仕事をしている人はぼくのことを「できる人」だと思ってしまう節がある。それって得のようで損なんだ。
ぼくがポンコツだと気づいた時、そのギャップでショックを感じるでしょ?
だから最近のぼくはなるべく自分が「ポンコツであること」をアピールするようにしている。というか、隠さないようにしている。
ふだんからそんな風に自分をさらけ出すことにも、ようやく慣れてきた。
御年40歳のぴこつです。どうぞよろしく。
いつもと同じように通勤をして、いつもと同じように家に帰る。
そういう繰り返しの中でぼくら会社勤めの人間は生きているわけだけど、週末になるとぼくは朝の7時ごろから散歩に出かける。気休め程度の運動と、平日と極力変わらない生活リズムを保つためにそうしている。
そのルートいつもいっしょ。
なんとなく違う道を行ったりすることもあるけれど、それも想定の範囲内。
今日は思い立って、いつものルートとは反対から歩き始めてみた。
時計回りだったのを、反時計回りにしたと言えば分かりやすいかな。
そうすると、普段とは景色がまるっきり違って見える。別のところを歩いているような気分さえしてくる。
大袈裟だと思うでしょ??
これが違うんだ。本当に。
見る景色でも視線をあらゆるところに向けてみると、その違いがわかる。
建物ひとつ取っても見える部分は違う。普段は見えていない方角から見ているからそりゃそうだ。
日光が指す方向もいつもとは反対側。
道路に移る影の形だって違う。
そう言えば、ぼくはいつもそうやって何気ない景色の違いを見つけるのが好き。
散歩する時でもいろんなところに視線を向けている。
環境の変化には弱いけれど、何も変化のない景色をずっとながめているのは好きじゃない。
なんだこのジレンマ。
変化を感じることはストレスで、変化を見るのが好きなのか?
だからこその「逆回転」なのかも。
同じところを歩いている代わりに、見える景色だけは変えられる。
人生のちょっとしたお遊びだね。
環境を変えることなんてそんなにないかもしれないけれど、あなたも、もし平凡な毎日に嫌気が差した時、反対から行ってみるとか、別の方向から対象物を見るとかしてみるのはオススメです。
じゃあ、またね。
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