休暇のつくり方 その2
以前のこの記事では「休暇のつくり方」と題したものの、休暇をつくる意義に留まっていました。
本稿ではどのように休暇をつくるかを考えます。
今回は前提としてこれまで勤務していた学校規模(公立中学校、各学年2学級程度)を想定します。
また、今回は現行の業務量をどのように運用して解決するかについて言及していますが、業務の精選をまず行うべきであるという立場です。
学校規模や校種が異なっていても考え方を援用すれば適用可能かもしれません。
休暇を取ることに後ろめたさを覚えるとしたら、それは代替に入る同僚への負担が大きいと考えられるからでしょう。
学級担任として担任業を託す、授業担当として自習を依頼する、校務分掌の代打をお願いする…。
学年担任制
まず、学級担任が休暇を取得すると、学年の副任や主任などに担任業務を代行してもらう必要が出ます。小学校ほどではないにせよ、中学校でもそれに負担感を覚える場合もあります。
これを抜本的に無くしてしまうために、学年担任制を取り入れるのはどうでしょうか。
直近の勤務では2学級で職員5名でした。
内訳は<学年主任・担任1・担任2・副任(初任者)・特別支援学級担任>
特別支援学級担任は学級をもっているため、4人に学年の担任業務を分散することを考えます。
日常業務
朝学活
給食指導
終学活
生活ノート点検
清掃指導
当校は清掃指導は担任ではなく全職員の業務だったため、学年の仕事としては除外します。
すると1週間に担任が教室に行かねばならないコマは、朝学活、給食、終学活の3コマ×2学級×5日=30コマ。
これを4人で割ると7.5コマ/人となります。
計算するまでもないが、2人の担任でやっていた部分を4人で分担するため、担任としては出ていくべきタイミングが半分になります。
副任はOJT的に短学活の運営などを学ぶこともできます。
割合としては週2日休んでも他人に迷惑はかからない形。
生活ノート点検は希望制にし、生徒が点検を希望する職員に提出する形とします。
職員が不在の日はその旨を生徒に伝え、勤務している職員のところに提出。
これによるメリット
担任 拘束時間、責任の軽減
副任 より担任に近いかたちで指導に関われる
主任 学年全体の雰囲気を把握できる
もはや担任とか副任とかでなく、全員で全体を見るイメージです。
授業
学級活動
道徳
総合的な学習の時間
これらの授業に関しても分担、輪番で対応します。
学級活動については輪番、もしくは、同じ授業を同じ職員が担当できるよう合同で行う、時間をずらして実施するなどします。
道徳については、題材ごとに担当者を決め、輪番で回します。この辺りは実装している学校も少なくないでしょう。
総合的な学習の時間についても学級活動と同様に、輪番、もしくは分担でみます。
理想を言えば、異学年学習が実現できるよう全学年の時間をそろえると良さそうですが、時数もカリキュラムも異なることが多いと思うので、追々。
不定期業務
定期教育相談
保護者面談
通知表、指導要録
行事指導
生徒指導
学級だより発行
ここまでの議論については段階的に取り入れているところもありそうですが、不定期の業務はどのように考えると良いでしょうか。
ここも基本的にみんなで全部やる、それぞれの得手を生かす、を方針として動かすのが良いと考えます。
・定期教育相談
学校全体で期間を定め、昼休みや放課後を使って全員と面談をもちます。
が、中学生くらいの年齢になると正直マッチングがどうなんだろうというケースが散見されます。
担任が全ての生徒に対応するスキルや人間性を身につけるより、学年団としてそれぞれのキャラクターを生かしていく方が、簡便で益が多いでしょう。
面談希望の職員名を生徒の希望で書くことを基本にします。
もちろん、短学活でよく登場する職員や、年齢の近い職員のところに希望が集中する可能性もあります。それでも、担任が全ての生徒を見る場合よりも、一人当たりの担当生徒数は減り、よりじっくり話ができるようになる可能性は高いでしょう。また、「誰でも良い」の欄を設けることでさらに分散が図れるかもしれません。それでも偏りが出たら、他の業務の部分でバランスを調整します。
・保護者面談
こちらも教育相談と同様の考え方で希望をとります。あらかじめ、それぞれの職員がどのような特質をもっているかを示して希望をとるのもいいかもしれません。
もしくは、学期ごとに輪番制をとるという方法もあります。この場合は職員にも当該生徒を知っておかなければならないという縛りが生まれるので、より主体的に学年経営に関わることに繋がる可能性もあります。
・通知表、指導要録
原則として、生徒の自己評価を生かして作成します。通知表については、所見があるのであれば、年度当初に分担を決めて記載する。要録については分担して記述する。これは十分に可能でしょう。保護者面談と同様に、より生徒を見ることに繋がるという側面もありそうです。
・行事指導
先の体育祭の記事のように、クラスを見る、というよりも、それぞれの業務内容で分担するという形をとり、全員が全体を見るという仕組みを作ります。
例)体育祭
リーダー指導:主任 ダンス指導:担任1 競技指導:担任2 小道具指導:副任 等
教員の業務軽減と共に、横の連携が取れることと、職員間の競争が協働に置き換わる好循環が回ります。
・生徒指導
学年主任や学年生徒指導を元締めにし、担任、副任で一時指導を行う形で指導体制を組織します。
学級が落ち着かなくなると一方のクラスで対応せざるを得ないケースが連続することもあります、すると、担任も疲弊します。
日常的に複数の職員が関わっていることで一次指導にも全員が入ることができます。すると事案が起こった際も責任や負担感も分担できますし、いい意味で学年の課題と捉えて指導に繋げることができるでしょう。
・学級だより発行
学級だよりに限らず、「学年で揃える」か否か、という議論があります。
この働き方改革のうねりでさらに加速した感もあります。
ここについても、学年のそれぞれの職員が、それぞれやりたいこと、それぞれの得意なことを生かす、という方向でいけば、横並ぶ必要がなくなります。
例えば、学級だより作成に秀でた職員がいれば、その能力を学年だより作成に援用すれば良いですし、掲示物作成の指導が得意な職員がいれば、学年学活のなかで行えば良いです。
よく揉めがちな席替えのシステムについても学級担任が方法を決定するというシステムになり得ないですし、民主化も進むでしょう。
これまでのあの学級だけずるい、となっていたものが悉くなくなるはずです。
まとめ
と、書いているうちに「休暇をとるためにどう楽をするか」ではなく、「いかにみんなでやって教育効果を上げるか」という方向にシフトしてしまいましたが、職員が協働することが「職員の休暇の取得」と「教育効果の向上」の両方に寄与するのではないかということが結論です。
じゃあ他の学年は?というところが今後の課題です。
少しイメージはありますが、多くの人の理解は得にくいだろうからもう少し温めておきます。
また、若手職員が苦しみながらも担任で一人でやり切るという経験ができないことはある意味デメリットかもしれません。
さて、実装しているよ、とか、いやいや無理でしょ、とかご意見くださいね。
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