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野鳥

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野鳥についての雑記
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#雑記

冬のスズメはふっくら膨れ上がってパンを待つ

ひと雨ごとに寒くなる。 この日は北風が強く、ガラス越しに見る鎮守の森の木々も大きく揺れていた。 この強い風を、スズメたちはどうしのいでいるのだろうと思いながら、暖房の効いたパン屋のイートインスペースで、朝昼兼用の食事を採った。 ガラス越しに見えるテラス席では男性が一人、こちらに背を向けて電話をしている。 と、その向こうの生垣の根元に、スズメが2羽、ふっくらふくれあがって並んでいるのが見えた。 電話の男性が、パン屑をこぼしやしないかと期待しているのだ。 男性の電話は続き、パ

ごめんね、ヒヨちゃん ~巣立ちの前に~

初夏のある日、庭のイロハモミジの茂みに、ヒヨドリが入っていくのが見えた。何か食べ物でも探しているのだろうと思っていたが、何度もやって来てはゴソゴソしている。ある時は、その茂みからヒョロリと飛び出した何かのツルの茎が、上に下にヒョコヒョコ動いていた。どうやらヒヨドリは、ここで巣作りを始めたようだ。 運のいいことに、巣はリビングの透明の窓越しに見える位置にあり、暗い室内の様子は外からはよく見えないらしい。薄手のカーテンをかけているので、派手に動かなければ彼らに気付かれることはな

庭に小鳥のお風呂をつくってみた ~シジュウカラが常連になった編~

我が家には、猫の額ほどの庭がある。小鳥が来てくれたら毎日楽しいだろうと思い、水場をつくってみた。最初は誰も気付いてくれず開店休業の状態が続いたが、3ヶ月ほど経ったある日、帰宅すると、水場の周りの石がベチャベチャに濡れていた。 やっと来てくれた!一番風呂に入った鳥は誰?その日から、気配を感じるたびに庭を見ることにした。 やがて、シジュウカラが贔屓にしてくれていることがわかった。胸に垂らしたネクタイは黒く太く、立派なものだ。雄だろう。彼をシジュ夫と呼ぶことにする。 シジュ夫

父かも知れぬ ~スズメにエサをあげる理由~

夜中に雨が降った翌日、庭に据えた小鳥のお風呂で、スズメたちが賑やかに水浴びに興じていた。いつもなら、昼時に居間のテレビをつけると、「お、もう昼ご飯ですか?」と、窓越しに部屋の中を覗き見てご飯粒をねだるのだが、この日は水浴びに専念していた。それでも窓を開けると、先に水浴びを終えた2~3羽のスズメが嬉しそうに飛んで来た。 その昔、江戸っ子は銭湯帰りに蕎麦屋に立ち寄り、小腹ふさぎに1~2枚の盛り蕎麦をたぐったそうだが、スズメたちも同じだろう。窓の桟にご飯粒を置くと、水浴びを終えた

スナックは水に浸して ~カラスの食事作法編~

カラスも行水をするだけなら、これほど嫌われることはないのだろうが、彼らも生き物だ。行水でお腹が満たされるわけではない。そこで手っ取り早く、エサにありつくためにゴミをあさる。 「ゴミの日」は、彼らにとっては「ごちそうの日」だ。朝の鳴き声も、いつになくご機嫌で、近所を縄張にしている「ヘェーッ、ヘェーッ」と鳴くカラス、通称「へぇちゃん」の声も、心なしかワントーン高い。 ゴミの日は、収集車が来るまでが勝負だ。ゴミ袋にネットがかけられていない、あるいはネットのかけ方が甘い場所は、絶

プラスチックより針金がいい ~カラスの作り編~

カラスは、春先に巣作りをはじめる。ある年、とあるつがいが、駅前の桜の木に営巣した。「ここならわざわざ花見に行かなくたって桜が楽しめるし、何より情操教育にいいのよ」なんて、メスにいいくるめられでもしたのだろう。 その巣をよく観察すると、針金ハンガーが使われていた。今やこのハンガーを使うクリーニング店は減りつつあるが、洗濯物を干すのに針金ハンガーを使っている人は、近所の物干しを見る限り、少なくないようだ。 何を隠そう(別に隠していないが)、我が家も針金ハンガーを使っている。タオ