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詩 | 立原道造 | のちのおもいに

立原道造 | のちのおもいに
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夢はいつもかえって行った
山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたいやまない
しずまりかえった午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり
火山は眠っていた
---そして私は
見て来たものを 
島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいていないと知りながら 
語りつづけた・・・・・・

夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもい
忘れつくしたことさえ 
忘れてしまったときには

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであろう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くずにてらされた道を過ぎ去るであろう

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山根あきら | 妄想哲学者
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