短編 | 高崎のラブホにて
連作短編「ラブホ」。
「郡山のラブホ」「上野のラブホ」の続編ですが、単独でも読むことができます。
短編 | 高崎のラブホにて
(1)
ある夏休みのことである。急に1週間の休みをもらったものだから、普段行けそうでも、なかなか行けていなかった場所をめぐることにした。
とりあえず、福島の五色沼や猪苗代湖へ足を運んだ私たちは、つづいて、ディズニーランドへ行った。
しかし、まだ休みは残っている。それで、次にどこに行こうかと考えたとき、沼田の「吹割の滝」を思い付いた。滝だから、涼しそうな感じもして。
曲がりくねった山道を越えて、目的地を目指した。
吹割の滝は、絶景であった。ナイアガラの滝のように巨大ではないが、なかなか見ごたえがあった。
そしてそのあと、夕方頃になって、全国有数の代表的な河岸段丘を見に出掛けた。丘の上から見下ろす町。こんな段差を川が作ったのかぁ、と思うと、自然の力はすごいな、と改めて思った。それと同時に「タモリスト😎」の「聖地」に二人で立つことができて、感無量だった。
この近くに「古墳群」があったはずだが、暗くなってきたから、古墳を見ることは断念した。
(2)
日が長いとはいえ、運転したり、散策して疲れたから、高崎のラブホに一泊することにした。評判の店に並ぶ気力もなく、私たちは、ふつうのファミレス(デニーズ)で食事をした。
ラブホは調べて来なかったが、ここら辺なら適当に運転すればすぐに見つかるだろう。
(3)
ラブホ街らしきものは見つからなかったが、国道50号付近に、数軒ラブホを見つけた。
彼女の直感で選んだ。
外観は普通のラブホ、部屋に入ってみても普通のラブホだと思った。
「へぇ、このラブホは女の子には嬉しいかも」
「えっ、どこが?」
「鏡とか。くしもドライヤーもいい感じ。内装も明るくていいよね」
そういわれればそうかもしれないと思った。他のラブホには、ナースとか、体操着みたいなコスプレはたくさんあるが、「快適さ」ということを考えると彼女の言うことももっともなような気がした。
ルームサービスもなかなか充実していた。普通のビジホより安くて、快適なのは良いことだと思った。
私の夏休みはこのようにして、フィナーレに近づいた。
おしまい
フィクションです。何の「オチ」もない小説になりました。期待して読んでいただいた方には申し訳ないです。