小説 | 天才少女ルナの物語⑦
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女神モーヴが
目覚めし時
川の水は
下流から上流へ
流れ始めた。
普段は荒れ狂う海が
嘘のように穏やかになった。
僕とお姉ちゃんは
海へ泳ぎに行きました。
「あら、君たち楽しそうね」
女神モーヴは僕たちに微笑んだ。
「楽しいです、女神様。とっても」
「そう、よかったわね」
そう言うと
女神ビブリオン・モーヴは
空高く舞い上がっていった。
「じゃあ、ルナちゃん、このつづきを読んでくれるかな?」
ジェイコブ博士は、まるで孫娘に語りかけるかのような口調でルナに話しかけた。
「わかった。おじさん、じゃあ読むね」
ルナはジェイコブ博士の左手をギュッと握りながら話し始めた。
女神ビブリオン・モーヴが空高く舞い上がってから、僕とお姉ちゃんは海で楽しく泳いでいた。とても楽しかった。
とても楽しかったから、お姉ちゃんと僕はどんどん沖のほうへ向かって泳いで行った。気がついたときには、砂浜ははるか遠くに見えた。
「戻ろうか?」
お姉ちゃんが言った。
「そうだね、でも僕は疲れちゃった。少しだけ、ここに浮かんでゆっくり休んだら、いっしょに戻ろうね」と僕は言った。
「わかった、そうしよう」
お姉ちゃんがニッコリと笑った。
そのときだった。
ついさっきまで明るかった空が急に暗くなって、雨が降り始めた。
「ダメだ。雨が降ってきた。休んでいられない。私が引っ張るから、頑張って泳ごう」お姉ちゃんが言った。
激しい雨が降り始めた。
海は荒れ狂うかのように揺れ始めた。
のみならず、川の水は、たくさんの人を押し流しながら海に注ぎはじめた。
気がついたら、何人もの人々が僕とお姉ちゃんの回りに浮かんでいた。
「ルナちゃん、大丈夫かい?一気に読んで疲れただろう。一休みしようか?」
ジェイコブ博士が言った。
「ルナは別にいいよ。おじさんがお話を聞いてくれるなら」
「そうかい、おじさんはね、実はね、ここまでは今ルナちゃんが言ったお話を読めてたんだ。だが、この先はおじさんには読めなくてね。つづきを教えてくれるかい?」
ルナはジェイコブ博士の言葉にコクりと頷いた。
…つづく
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