伊勢物語 を英語で読む📖
この前、k_maru027さんの記事で、伊勢物語第23段(筒井筒)のことを知りました。
この段の内容については、葉つきみかんさん(↑)の漫画が分かりやすいです。
「伊勢物語」は、高校の頃に使っていた教科書に掲載されていたと思いますが、「徒然草」や「源氏物語」に時間をさいたため、授業で習いませんでした。せっかくなので、これを機に伊勢物語を読んでみたいと思います。
古典は苦手なので、
石田穣二(訳注)「新版伊勢物語」(角川ソフィア文庫)と、
Donald Keene(英訳)、「The Tales of Ise」(PENGUIN CLASSICS)を読み比べてみようと思います。
第23段(筒井筒)の和歌
👨男の和歌👨
筒井つの
井筒にかけし
まろがたけ
過ぎにけらしな
妹見ざるまに
つつゐつの|ゐづつにかけし|まろがたけ|すぎにけらしな|いもみざるまに
(現代語訳)
昔、筒井の井筒ではかった私の背丈は、もうその井筒より高くなってしまったようです、あなたと会わないでいる間に… …。
( Donald Keene訳 )
Since I saw you last
I have grown well beyond the rim
of our measuring well
where we compared our height,
but have you noticed yet ?
(拙訳)
最後にお会いしてから
井戸に印をつけておいたところよりも
ずっと大きくなりました。
丈比べをしましたが、気がついていましたか?
👩女の返歌👩
くらべこし
ふりわけ髪も
肩過ぎぬ
君ならずして
誰があぐべき
くらべこし|ふりわけかみも|かたすぎぬ|きみならずして|たれかあぐべき
(現代語訳)
あなたとその長さを比べてきた私の振り分け髪も肩より長くなりました。あなたでなくてほかの誰が、この髪を結い上げてよいものでしょうか。
( Donald Keene 訳)
My hair that I compared
with yours as a child
now falls below my shoulders.
If not to wed you,
for whom shall I put it up ?
(拙訳)
子供の頃、あなたと比べた私の髪は、肩より下に伸びました。あなたと結婚しないのならば、私は誰のために髪を結い上げるのでしょうか。
👩女の和歌👩
風吹けば
沖つ白波
龍田山
夜半にや君が
ひとり越ゆらむ
かぜふけば|おきつしらなみ|たつたやま|よはにやきみが|ひとりこゆらむ
(現代語訳)
風が吹くと沖の白波が立つ。その龍田山を、夜中に夫の君が独りで越えるのでありましょうか。
( Donald Keene 訳)
As the wild winds blow
and the white waves rise,
I think of you
crossing Mount Tatsuta
all alone by night.
(拙訳)
激しい風が吹き白い波があがると、まったくの一人で夜まで龍田山をあなたが越えて行く様子を思います。
👩高安の女👩
君来むと
言ひし夜ごとに
過ぎぬれば
頼まぬものの
恋ひつつぞ経る
きみこむと|いひしよごとに|すぎぬれば|たのまぬものの|こひつつぞふる
(現代語訳)
あなたが来ようと言った毎夜毎夜、空しく過ぎてしまったので、もうあてにはしておりませんものの、恋しく思いながら過ごしています。
( Donald Keene 訳)
On so many nights
you said that you'd come,
but they have all passed by,
though I cannot believe in you,
my heart's still filled with love.
(拙訳)
こんなにもたくさんの夜に、あなたは来ると言ったのに、たくさんの夜が過ぎてしまいました。あなたのことを信じることはできませんが、私の心は、まだ愛で満ちております。