一酸化炭素中毒について
(1)昨夜のニュース
昨夜のニュースで、一酸化炭素中毒で20代の女性が亡くなったことを知った。車のマフラーが雪で埋もれたため、車内に一酸化炭素が充満したことが原因だと言われている。
一酸化炭素は、無色・無臭のために、充満した中にいても気が付きにくいという。
若い命が奪われてしまったことを、とても悲しく残念に思った。車を日常的に使っている私としては、決して他人事ではない。どういうメカニズムでこのような事故が起こるのか、考えてみたい。
(2)車のマフラーが埋まってしまうとどうなるか?
イラストで説明すると、次のようなイメージである。
図の黒い波線くらいの高さまで雪で埋もれてしまうと、マフラーから排出された一酸化炭素は、車の下を通って、車の前方の外気口やドアの隙間などから、車内へ充満し始める。
一番大切な対策は、大雪が降る場合、やむを得ずエンジンをかけて暖をとるときには、定期的にマフラーの周辺を除雪することである。
窓を開ければ、いいではないか?、と思う方もいらっしゃると思うが、一酸化炭素は、ほぼ空気と同じ質量なので、風がなければ、その場にとどまる可能性がある。
(3)参考 | 平均分子量
一応参考までに「分子量」について。
高校で化学を学んだ方はご存知だと思う。
炭素原子 C の相対質量を12としたとき、
窒素原子 N = 14 , 酸素原子 O = 16 である。
窒素分子 = 28 , 酸素分子 = 32 であり、
空気はおよそ 窒素 : 酸素 = 4 : 1だから、
空気の相対質量は
28 × (4/5) + 32 × (1/5) = 28.8 。
それに対して一酸化炭素( CO ) は
12 + 16 = 28 。
よって空気と一酸化炭素は、ほぼ同じ質量である。
空気より軽い気体ならば、窓を開けることは大いに有効だけれども、一酸化炭素の場合は、窓を開けるだけでは不十分だと考えられる。
やはり、マフラーの回りを定期的に除雪したほうがよいだろう。
(4)まさかのための備えを!
やむを得ず、車を使わざるを得ない場合もあるだろう。
出掛ける前に天気予報や道路の渋滞状況を把握しておくことも大切である。
また、チェーンや、暖をとる手段として、カイロや食糧などを車内においておくのもよいだろう。簡易トイレも。
(5) まとめ
今回の一酸化炭素による事故は、雪が降る地方に限ったことではない。
ガレージに車を止めるときにも、同様のことが起こりうる。
マフラーは埋もれなくても、回りが密閉空間だと、車内に一酸化炭素が充満するおそれがある。
通気・換気に関しては、十分気をつけたい。
換気は感染症対策のためだけに行うものではない。