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ペールギュント殺人事件⑪ [最終話直前]
前話はこちら(↓)
氷室奏一の自白は、土居と椎名に衝撃を与えた。しかし、二人は、まだ何かが引っかかっていた。
「氷室を!コイツに死なれたら真相究明が遠退く!」
しばらくして、氷室は救急車で搬送された。
二人は救急車を見送ったあと、互いの疑問をぶつけあった。
「本当にコイツがやったのか。それとも、何かを隠しているのか」土居は椎名に語りかけた。
「それはまだわからない。しかし、コピー用紙だけで発作が起きるのか?土居ちゃんどう思う?」
土居は思い出すように言った。
「氷室の苦しみ方に、オレはデジャブを見たような気がしたよ。摂津綾子の最期に似ているような気がする」
沈黙がつづいた。
「あの人を守れるなら私が犠牲になってもいい」
土居と椎名の二人は、この氷室の言葉の裏に隠された真実を暴こうと決意した。氷室の行動パターンや過去の経歴などを詳細に調べることにした。
その結果、土居と椎名の二人は、氷室が過去に何らかの精神的なショックを受けて、過去に公演を何度か中止したことがあることが判明した。そのことが今回の事件に深く関わっている可能性があるのではないだろうか?
氷室の過去を調べていくうちに、土居と椎名は、彼の人生が決して平坦なものではなかったことを知った。彼は、幼い頃に両親を亡くし、親戚の家を転々としていた。その経験は、彼に深い心の傷を残し、対人関係を築くことを難しくしていたようだ。
土居と椎名の二人は氷室の過去を紐解くにつれて、彼の行動の背景にあるものが朧気に見えはじめていた。氷室の心の奥底にある真実を暴き出せば、摂津綾子殺害事件の真相に近づけるはずだと確信した。
そのとき、椎名のスマホが鳴った。
「えっ!」
電話に出た椎名はひどく驚いている様子だった。電話を切ったあと、椎名が言った。
「土居ちゃん、また大変なことが起こった。渡辺社長が自宅で首を吊って自殺したらしい」
土居も絶句した。この前訪れたばかりのあの部屋で、渡辺社長が?
二人は急遽、渡辺社長の自宅へ向かった。
現場に到着して、二人を出迎えたのはマンションのコンシェルジュだった。
「あぁ、刑事さん。渡辺社長の部屋へいらっしゃったのですね。大変なことになりました。実は社長の部屋の名義人は摂津綾子さんなのです。二人が亡くなった今、誰があの部屋の遺品を引き取ることになるのやら」
椎名と土居の二人は顔を見合わせた。
…次回、最終話
果たして事件の真相は?
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