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解釈 | 透明人間
この記事は2025/02/20に書いて、下書きになっていた記事です。
ラルフ・エリソン「透明人間」。
今年1月はじめから読みはじめて、現在260ページまで読み終わりました。全部で581ページの本なので、まだおよそ4割5分、ということになります。
今のペースで読みつづけると、読み終わるのは3月末頃になる計算になります。
どんな長編小説であれ、最初から最後まで全部面白い!、ということは少なくて、退屈に思えたり、内容がよくわからなくなったりすることがあります。
日本語で読むときでさえそうなので、まして英語で読んでいるとなおさらです。
立ち止まって、わからなくなったところまで戻って読むこともありますが、そうすると時間がかかりすぎます。
本当はちゃんと理解してから、先を読み進めればいいのかもしれませんが、今までの経験上、そういう読み方をすると、最後までたどり着く前に本を投げ出してしまうことが多かったように思っています。
だから、最近はわからなくなっても、とにかく先を読み続けるようにしています。これも経験則ですが、最後まで目を通すと、わからなかった箇所がわかったような気持ちになるからです。
しかしながら、最後まで読み終わるまではやはり時間がかかりますし、途中経過として、この記事を書いています。
この記事では、
Ralph Ellison, Invisible Man, PENGUIN BOOKS, p.258を引用して、
「英文解釈」をしてみようと思います。
「解釈」と言っても「和訳」でも「翻訳」でもなく、構文を理解することに重点を置きます。
透明人間
前掲書、p258より引用
It was a period of quietness. I paid my way with my compensation money and found living with her pleasant except for her constant talk about leadership and responsibility. And even this was not too bad as long as I could pay my way. It was, however, a small compensation, and when after several months my money ran out and I was looking again for a job, I found her exceedingly irritating to listen to. Still, she never dunned me and was as generous with her servings of food during mealtime as ever. "It's just hard times you going through," she'd say. "Everybody worth his salt has his hard times, and when you git to be somebody you'll see these here very same hard times helped you a heap."
おおまかに意味のまとまりごとに分けると次のようになる(↓)。
①It was / a period of quietness.
②I paid my way / with my compensation money /and found /living with her / pleasant / except for her constant talk about leadership and responsibility.
③And even this was not too bad / as long as I could pay my way.
④It was, however, a small compensation, and / when after several months my money ran out and I was looking again for a job/,
I found /her /exceedingly irritating to listen to.
⑤Still, she never dunned me //and was /as generous with her servings of food during mealtime as ever/.
⑥"It's just hard times you going through," she'd say.
⑦"Everybody worth his salt / has his hard times,
and when you git to be somebody/
you'll see //these here very same hard times / helped you a heap."
注釈
②
「found ~」はSVOCの文。
「living with her」が目的語。
③
「as long as~」は「~する間、~する限り」。
④
「found」を含む箇所は第5文型(SVOC)。
⑤
「as ~ as ever」は「相変わらず」。
⑥
「she'd say」は、「say」が原形だから、「she would say」だろう。
「would」は過去の習慣。
「would often」という使い方をされることが多い。
⑦
「worth his salt」。
★「worth one's salt」は、「給料分だけの働きはある」「有能な」「役に立つ」という意味。
昔は給料として塩が支給されたことに由来する。直訳すれば、「塩に値する」すなわち「給料だけの価値はある」。
★「git」は誤植ではなく、「非標準的な英語」である。「get」を、「ゲット」ではなく「ギット」と発音していることを表しているのだろう。
Geminiによる翻訳(↓)
静かな日々が続いた。私は補償金で生活費を賄い、彼女との暮らしは、彼女が絶えずリーダーシップや責任について話すことを除けば快適だった。そして、生活費を払えている間は、それほど苦にもならなかった。しかし、わずかな補償金は数ヶ月で底をつき、再び仕事を探し始めると、彼女の話を聞くのがひどく煩わしくなった。それでも、彼女が私に支払いを催促することはなく、食事の時間には相変わらずたっぷりと料理を振る舞ってくれた。「今は辛い時期なのよ」と彼女は言った。「一人前の人間なら誰でも辛い時期を経験するわ。あんたが偉くなれば、今経験しているこの辛い時期が、きっとあんたを大いに助けてくれたと思うようになるわよ。」
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします