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短編小説 | 冬の告白

由紀子の告白

 もっと早く伝えたかったんだ。初めて君を見かけた瞬間に、こころの深いところで喜びに満たされたんだ。

 一目惚れなんていう軽い言葉じゃ表現できないような、じーんとこころの芯からあたためられるような。

 君にはもうすでに、彼女がいるかもしれない。何の取り柄もない私なんかから告白されたって、君に迷惑をかけるだけなんじゃないか、って思っちゃって。

 こんなに好きなのに、たった2文字の「スキ」が言えないなんて、われながら恥ずかしい。情けない。

 君に付き合ってほしいなんて言いたいわけじゃないんだ。ただ、君がこんなにも私のこころを揺さぶったことを、君に伝えておきたいと思ったんだ。ごめんね。迷惑だよね。。。

夏男の告白

 ほんと迷惑なんだよね。そんなこと言われたって。

 ぼくはずっと前から、好きで好きで、寝ても覚めてもずっーと思っている人がいたんだ。だけど、ほんとうにかわいい子だから、ぼくには手が出せなかった。

 男なのに、好きな女の子に「好き」と伝えられないことがふがいなくて。

 でもね、もう明日、クリスマスだろ?別にクリスマスになんか、特に何の思い入れもないけれど、きっかけにはなる。だから、今日、ぼくの一番好きな女の子に「スキ」だということを、ぼくのほうから伝えたいと思っていたんだ。

 それなのに、ぼくは、自分から「スキ」だと伝える前に、ぼくの最も好きな女の子から先に「スキ」だと言われてしまった。恥ずかしい。情けないったらありゃしない。そうだよ。君のせいだよ。

 君のこと、初めて会った瞬間からスキだった。ずっとずっと好きだった。ごめんね。伝えるのが遅くなっちゃって。許してね。ありがとう。

由紀子

わたしたちって、バカだよね。

夏男

そうだね。ぼくたちは大バカ者だ。

(沈黙)

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🎄🎅🎁✨メリークリスマス近し。

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山根あきら | 妄想哲学者
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします

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